〜トヨタ大規模リコールの背景〜

トヨタ自動車〜念願の世界生産台数第1位を獲得

トヨタ ロゴ

トヨタは世界85カ国の自動車販売台数で2014、2015年と連続して念願の首位を獲得しました。しかし順風満帆で獲得したわけではなく、1990年代のバブル経済崩壊、2008年のリーマン・ショックや2010年の大規模リコールといった危機的状況を乗り越えての躍進です。その原動力となったのは戦後まもなくの倒産危機を乗り越えるために開発された「トヨタ生産方式」と世界に先駆けて開発したハイブリッド技術の進化が大きな要因となっています。

産業界に大きな影響を与えた「トヨタ生産方式」

「トヨタ生産方式」は生産工場における運用方法で、コストの低減と品質向上を図るためのシステムです。コンセプトの中核には「ジャストインタイム生産」と「7つのムダをなくすこと」があり、これらを実行させるためにさまざまな手段が取り入れられています。

ジャストインタイム生産は製造したクルマの在庫を減らすと同時に、作業行程においても必要な部品が必要な数だけ揃っていれば使い切ることができるので作業的にもコスト的にも効率が上がるという考え方です。また7つのムダもこれと関連しており、作り過ぎ、運搬や加工そのもののムダ、動作、不良を作るムダなど、在庫だけでなく作業員の効率まで及んでいます。トヨタ生産方式はその後の国内製造業だけでなく海外の自動車産業まで影響が及び、現在ではJIT方式として各国の製造メーカーが取り入れています。

19ヶ月連続で新車販売台数の首位に君臨したプリウス

トヨタは1997年に世界で初めてとなる量産ハイブリッド車、プリウスを発売しました。電気モーターとエンジンを併用させて走行するという未来志向のクルマに相応しいエクステリアが与えられており、フロントからリアまでをシームレスにしてモノフォルム化、超軽量鍛造アルミホイールに樹脂製キャップを被せて空気抵抗の軽減を図るなど革新的なデザインが採用されていました。この基本設計は4代目となる現行車にも引き継がれています。

当初、同クラスのカローラが約150万円であることに対してプリウスは215万円と割高感が強く、世論は量産ハイブリッド車はまだ早いと批判的で、実際、初代は年間で2万台を切る販売成績しか残せませんでした。しかしトヨタはプリウスの基本コンセプトを変えずに2003年、2代目を発売します。ボディサイズを3ナンバークラスに変え、空気抵抗を減らすために設計されたワンモーションフォルムはさらに革新的になりました。この2代目から人気が沸騰、3代目になると爆発的な売れ行きを見せ、2009年5月の発売と同時に月販目標1万台の約18倍を受注、さらに発売直後の2009年6月から2010年12月まで19ヶ月連続で新車販売台数の第1位を獲得しました。

パラレル方式を採用したトヨタのハイブリッドシステム

2011年1月、新車販売台数第1位を保持していたプリウスをその座から引き下ろしたのは同じトヨタ、同じハイブリッドシステムを搭載していたコンパクトサイズのアクアでした。プリウスの成功以後、国内各メーカーもハイブリッド仕様を作って追従、ハイブリッドに懐疑的だった海外のメーカーもハイブリッド車を販売するに至っています。

ただし、トヨタ以外のメーカーはハイブリッドシステムにパラレル方式を採用しています。これはエンジンとトランスミッションの間にモーターを設置、エンジンの出力をモーターがアシストするシステムで、既存の駆動構造を大きく変えることなくハイブリッドのメリットを取り入れることができますが、燃費効率はトヨタのシリーズ・パラレル方式より劣ります。

トヨタのシリーズ・パラレル方式は低回転域をモーターで走行、高回転域はエンジンが主体となり、さらにパワーが必要な時はモーターのアシストが加わるというシステムになっています。必要に応じてモーターとエンジンのパワーを分散できることからスプリット方式とも呼ばれており、燃費効率に大きく貢献しますがパワー配分の制御が複雑になるというデメリットがあります。また制御の部分でトヨタが特許を取得していることも他社が採用しない要因のひとつになっています。

売れなくても作り続ける5ナンバーサイズのラグジュアリーセダン

新車販売台数で上位常連のプリウスやアクア、ラグジュアリー系ミニバンではトップを維持しているアルファードヴェルファイア、国内専用車としてトヨタのフラッグシップモデルとなるクラウンなど、人気車種の多いトヨタでも新車販売台数で30位以内にも入れない車車はいくつかあり、その目立たない存在の中の代表的な車種がプレミオとアリオンの姉妹車です。

プレミオ(と姉妹車のアリオン:以下略)は取り回しの良い5ナンバーサイズのノッチバックセダンで、車内をクラウン並にラグジュアリー仕様としていることがセールスポイントです。しかしラグジュアリー志向のユーザーは3ナンバーの普通車サイズを好み、取り回しの良さを求めるユーザーであればシンプルな内装と低価格車を選ぶという傾向があります。

プレミアは高級車からダウンサイジングしながらもラグジュアリー感を欲しい、というニッチなニーズにしか対応していないことから不人気車となっており、月間販売目標3000台に対して1500〜2000台に留まっていることが現状です。トヨタ側もその少ないニーズをを承知していながら、日本の道路事情に最適でクルマの基本となる5ナンバーセダンを作り続けていることに、クルマメーカーとしての挟持が感じられます。

アメリカで起きたトヨタ大規模リコールの背景

2009年から2010年にかけてアメリカを中心に行われたトヨタ車の大規模リコールは単なる販売車の欠陥というだけでなく、複雑な局面を持った事件となりました。一連のリコールによってトヨタは138件の集団訴訟、事故遺族から96件の民事訴訟、さらにカリフォルニア州オレンジ郡検事局からも起訴され、当時の騒動は「トヨタバッシング」や「トヨタ戦争」と呼ばれました。

発端はフロアマットによるアクセルペダルの引っかかり

事の起こりは2007年、トヨタが北米で販売しているピックアップトラック、タンドラのアクセルペダルの戻りが悪いという苦情でした。その後も相次いでアクセルペダルの戻りが悪いという指摘を受け、トヨタはアクセルペダルの改善を行い、同時に事故原因のほとんどが別売りフロアマットを取り付けるとアクセルペダルに引っかかる現象だったためにトヨタは380万台を自主回収、被害者とは1000万ドルで和解しました。

本来ならばこれで収まる問題でしたが、韓国系アメリカ住民がトヨタ車は電子制御に問題があって急加速を起こすという集団訴訟を行なったことから全米全土に急加速問題が広がり、トヨタの大規模リコールが始まりました。

米交通安全局は電子制御に問題なしと結論

トヨタは急加速問題に対しては不具合は発生していないとしながらもアクセルの戻りの不具合に関しては計8車種、約170万台に対してはタンドラに続いて回収を行ない、不具合の修正を行なっています。

急加速問題は米国運輸省道路交通安全局の主導によって調査され、結局、電子制御部分に関しては問題が見つからず、事故原因は運転者本人の操作ミスという結論に達しました。一連の騒動はトヨタが民事制裁金の全額払いで合意成立、トヨタには刑事責任がないということで決着しています。この「トヨタバッシング」の一方で、韓国のヒュンダイや起亜自動車は着実に販売台数を伸ばし、一部の自動車雑誌では高い評価を受けました。

安心感のあるブランド力を持つトヨタの中古車

中古車市場においてトヨタの人気車種は比較的高値傾向で安定しています。国内最大メーカーの強いブランド力、故障や点検を全国各地にあるディーラーで受けることができるため、安心感があるという点が大きな理由です。

ユーザーに取って嬉しいポイントは中古車市場に流通している車数が多いため、好みのグレードや気に入ったボディカラーを比較的簡単に探し出せることです。安心感と幅広い選択肢から探したい人にとって、トヨタの中古車は最適といえるでしょう。

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