〜クルマの未来を先取り〜

アウディA4〜完全主義のドイツ車らしい最先端技術の塊

アウディのA4は欧州Dセグメントにカテゴライズされるミドルサイズの4ドアセダンです。2015年に8年ぶりとなるフルモデルチェンジを行い(日本国内販売は2016年から)、エンジンやトランスミッションなど駆動性能だけでなくエクステリアでも大きな変貌を遂げています。

ヨーロッパでは車をセグメントで分類します。セグメントにはA・B・C・D・E・Fがあり、Aは最も小型で、価格が安いクラスになり、一方Fは、最も大型で、価格が高いクラスになります。

Dセグメントは、全長4.5m~4.8mで小型セダンクラスになり、高級車に区分されます。

例を見ないエンジン縦置きのFFレイアウト

1964年からフォルクスワーゲンの傘下企業となっているアウディはスタイリッシュなデザインと高い走行性能からメルセデス・ベンツやBMWと並んでドイツ高級車の御三家に数えられますが、クルマとしての個性は両社と大きく異なっています。メルセデス・ベンツとBMWはどちらもオーソドックスなFR方式を採用していることに対し、アウディはFFまたはquattro(4WD)を選択、しかもA4以上のボディサイズでは世界のFF車では類を見ないエンジンの縦置きを採用しています。

FFは駆動ユニットをフロントに集中させることができるのでキャビンを広く取れるというメリットを持ちますが、その一方で前後左右の重量バランスが悪くなるため、スポーティな走行には向いていません。それがメルセデス・ベンツとBMWがFRを採用する理由のひとつです。

前輪駆動を量産車に初採用したアウディ

しかしアウディはエンジンを縦置きにすることで左右の重量バランスを図り、さらに駆動輪の上にエンジンをレイアウト、駆動輪にトラクションを与えて走行性能を高めるという手法を取ったことで、メルでセス・ベンツやBMWに引けを取らない走行性能を発揮しています。またエンジンを縦置きにすればアウディ独自の4輪駆動システムquattroへ移行しやすいというのも大きな要因です。FFを量産車に初採用したのがアウディというのも、FFを採用し続ける理由のひとつでしょう。

アウディはスタイリッシュである以上に革新的な技術を投入するメーカーで、FFを量産車に初搭載しただけでなく、車両の軽量化に大きく貢献するアルミ製シャーシのアウディスペースフレームやツインクラッチを使用してMTの素早いシフトチェンジをATの操作で可能にしたS-トロニックなどを開発してきました。今回、フルモデルチェンジされたA4にも多彩な新技術が投入されています。

メルセデス・ベンツCクラスと主なスペックを比較

激戦区となっている欧州Dセグメントの中でも着実な販売成績を上げているのがメルセデス・ベンツのCクラスで、日本国内の輸入台数でも1位のフォルクスワーゲン・ゴルフに次いで2位、5位のBMW3シリーズが6,221台であることに対して11,437台を販売しています。ここでは排気量が同じ2.0LのアウディA4 2.0 TFSIとメルセデス・ベンツC200 AVANTGARDEの主なスペックを比較します。

A4 2.0 TFSIC200 AVANTGARDE
全長×全幅×全高(mm)4735×1840×14304690×1810×1435
ホイールベース2825mm2840mm
車両重量1540kg1540kg
駆動方式前輪駆動後輪駆動
最高出力140kW(190PS)/4200〜6000rpm135kW(184PS)/5500rpm
最大トルク320N・m(32.6kg・m)/1450〜4200rpm300N・m(30.6kg・m)/1200〜4000rpm
トランスミッション7速Sトロニック電子制御7速AT
JC08モード18.4km/L16.5km/L
車両本体価格5,180,000円5,450,000円

両車のスペック比較で最初に目立つのはボディサイズです。アウディはエクステリアがすっきりしているのでコンパクトに見えがちですが、実際は全長、全幅ともにCクラスを上回り、Eセグメントに近い大きさとなっています。これは前輪駆動でありながらエンジンを縦置きにしていることでフロントノーズが長くなり、その分、安定性を持たせるために全幅も拡大していることが主な理由です。

エンジン型式はどちらもDOHC直列4気筒2.0Lでインタークーラー付きターボチャージャーが装着されています。エンジンパワーと燃費効率はややA4が上回っていますが、実際の走行ではほとんど変わりないと言えるでしょう。A4にはダイレクトなシフトフィールが得られるS-トロニックが搭載されているので、FFであることやフロントヘビーであることが大きく影響しないため、スポーティな走行を楽しみたいという人であればCクラスよりもA4の方が向いているといえます。

部分自動運転を備えたドライバーアシスタンスシステム

A4の予防安全装置ドライバーアシスタンスシステムは衝突回避支援のプレゼンスシティや追い越そうとしているクルマが死角にいる時、エクステリアミラーのLEDライトでドライバーに警告を促すサイドアシストなど、およそ現在の最先端予防安全装置が持つ機能をほぼ備えています。これらの機能に加え、A4にはトラフィックジャムアシストが装備されました。

これは0-250km/hの範囲内で前方車両との車間距離を自動的に調整するアダプティブクルーズコントロールと併用する機能で、渋滞時、0-60km/h走行時に前方の車両や周囲の建物、車線などを検知し、ドライバーのステアリング操作をアシストします。動力で自力推進できる機械全ての規格標準を作る団体、SAEインターナショナルは自動運転に対する表現を6段階に分けており、A4のトラフィックジャムアシストは運転支援システムのレベル2、部分自動運転に相当します。

クルマの未来を先取りしたい人に最適の車種

今回のモデルチェンジで5代目となったA4はエクステリアも進化しました。フロントのシングルフレームグリルをボディサイズに合わせてワイドに変更し、ボンネットにはボディとの境目を感じさせないクラムシェル型を採用、さらにサイドビューには光の加減によって強い陰影を描くキャラクターラインが加えられています。

インテリアではメーターパネルにフルデジタルの12.3インチ高解像度ディスプレイ、Audiバーチャルコクピットが装着され、これまでのメーターパネル景観が一変しています。各種の機能を備えた予防安全装置やバーチャルコクピットなど、クルマの未来を先取りしたい人には最適の車種といえるでしょう。

筆者の主観的所見

クルマの前後左右をセンサーで安全確認し、必要な場合はドライバーに警告を与えて衝突の危険性まである時は強制的にブレーキを作動、ヘッドライトは対向車に強い光を当てることなく周囲を自動的に明るく照らし、エンジンパワーは小さな排気量でも性能をフルに引き出すギアを的確に制御、道案内も自動的に行い、人工衛星とリンクして必要な情報まで教えてくれるとあれば、これはもう映画に出てきた未来のクルマそのものです。A4はいかにも「完全主義のドイツ車らしい最先端技術の塊」と言っていいでしょう。

ただし、便利で安全な機能が増えるほど、それらを操作するスイッチ類も比例して増えていきます。これらの機能のおかげでA4の運転席はジェット機のコクピット並にスイッチ類が配置されています。A4を購入するのであれば、ある程度スイッチ類の操作に慣れておいた方がいいでしょう。走行中、スイッチ操作で戸惑うようなことがあると、むしろ安全のための装備が危険な状況を作り出すこともあります。

ページの先頭へ