〜本田宗一郎の理念〜

ホンダ〜チャレンジ精神で画期的な技術を開発

ホンダ ロゴ

ホンダは国産メーカーの最後発でありながら、創業者本田宗一郎の理念に従って成長を続け、現在は国内販売台数においてトヨタに次ぐ第2位を獲得しています。

チャレンジ精神の旺盛な企業で、1970年に北米で発令された排ガス規制法、通称マスキー法には他のメーカーに先駆けて独自の技術であるCVCCを用いてクリア、最近では車内空間を拡大して走行安定性能を高めるセンタータンクレイアウトや軽量コンパクトなハイブリッドシステムを開発して市販車に投入しています。

販売台数首位のカローラを追い抜いたフィット

ホンダのフィットは2001年の登場と同時に、それまで新車販売台数で長年首位を固持していたトヨタのカローラと激しいトップ争いを繰り広げました。2002年は初代フィットが首位に立ち、その後にカローラが優勢になると2007、2008年は2代目が再び首位、2009年はプリウスが首位を奪還するといったシーソーゲームが続きました。

コンパクトカーサイズのフィットは発売当初、エンジンは1.3LでトランスミッションはCVTだけというシンプルな構成でしたが、月販目標の8000台を大きく上回る48000台を受注しました。この記録はトヨタのプリウスに抜かれるまで日本車の歴代1位となっています。バブル期崩壊以後のクルマの価値観はユーティリティ性や経済性が重視され、その需要にフィットが最適だったこともありますが、フィットには他のコンパクトカーにはない優位性がありました。

各車種に搭載されたセンタータンクレイアウト

それはセンタータンクレイアウトによる車内空間の広さです。通常、ガソリンタンクは後部席の後ろにあるため、コンパクトカーはどうしてもラゲッジルームと後部席が圧迫されて狭くなるのですが、ホンダはフロアを2重にしてガソリンタンクを前部席の下に配置しました。

このレイアウトは車内空間の拡大だけでなく重いタンクをクルマの中心部に持ってくることで重心バランスが良くなり、走行の安定性につながるというメリットも生み出しています。現在、ホンダはセンタータンクレイアウトをフィット以外の各車種にも採用しています。

パラレル方式に薄型モーターを採用したハイブリッドシステム

ホンダはトヨタ同様、ハイブリッドシステムに力を入れており、フラッグシップモデルとなる高級セダンのレジェンドやスーパースポーツカーのNSXにも搭載されています。ただし、ホンダのハイブリッドシステムはトヨタと異なり、エンジンとトランスミッションの間にモーターを配置するパラレル方式を採用しています。

パラレル方式はエンジンが主体となるので燃費効率が大きく向上することはありません。しかしホンダはクラッチをエンジンとモーターの両方につけ、それぞれを単独でも動かせるようにしたことから、低速域ではモーターだけの走行を可能にすると同時にエンジンの燃費効率も高めています。

また、薄型に開発されたモーターはエンジンだけとトランスミッションの間だけでなく従来のデファレンシャル部分に装着が可能となり、レジェンドはフロントに1個、リアに2個を配備した3モーター駆動システムとなっています。

提携や供給を行わず独自路線を進むホンダ

自動車産業のグローバル化によって各メーカー間の技術・資本提携は盛んに行われていますが、ホンダは技術の独自性から現在は国内外を問わず、他メーカーとの提携は一切、行なっていません。

かつてはイギリスのローバーにOEM供給を行なっていたり、SUVがラインナップに用意されていなかった時代はいすゞからOEM供給を受けたり、といった時代もありましたが、複雑に入り組んだ各メーカー相関図の中で提携を行わないのは、ホンダの独自性を大切にするイメージを一層引き立てているといえるでしょう。

ユーザーへの浸透度が低いブランド名

軽自動車ではスズキとダイハツの間に入るN-BOXシリーズや納車が1年待ちという軽2シータースポーツカーのS660、ミニバンではトヨタや日産と競うステップワゴンなどのヒット車を次々と出す一方で、ホンダ躍進のきっかけとなったシビックの国内販売が終了、さらにホンダの顔ともいわれたアコードの販売台数が低迷するなど、ロングセラーを続けるブランドの少ないことがホンダのウィークポイントといえます。

アコードがアッパーミドルクラスまでボディサイズを拡大したのはシビックがコンパクトサイズからミドルクラスへ移行したことが理由です。しかしシビック販売終了後、このミドルクラスにはグレイスやヴェゼルなど新車種を次々に登場させたため、ユーザーにブランドが浸透せず、さらにブランド力のあるアコードをハイブリッド専用車にしたことからユーザーの選択肢に混乱を招いていることが不人気車を作り出している要因といえるでしょう。

ホンダは2016年5月にアコードのマイナーチェンジを行い、フェイスリフトしてテコ入れを行なっています。アコードは世界戦略車としての開発要素が濃いので、国内販売にそれほど力を注いでいないというのも、国内新車販売台数が少ない要因のひとつとなっています。

フィットとヴェゼルに発生したリコール

ホンダは2016年4月、2013年8月2日から2016年2月13日までの間に製造されたフィットとヴェゼルの2車種において、アイドリングストップシステムと電動パワーステアリングの制御コンピューターに不具合があるとして国土交通省にリコールを届け出しました。

アイドリングストップシステムの不具合は昇降圧充放電コンバータという部品の欠陥により、発熱を起こして周辺機器や部品を焦がし、最悪の場合は火災を発生させることもあります。すでに不具合だけで59件、部分焼損事故が4件、火災事故が2件発生しています。

電動パワーステアリングは制御コンピューター電圧設定の不具合です。バッテリーが低下すると制御コンピューターが作動しなくなる可能性があり、故障が起きるとEPS警告灯が点灯すると同時にハンドルが急に重くなります。すでに不具合が32件、物損事故が2件発生しており、どちらも大きな事故につながる可能性があるので対象となる車種は早めにディーラーで修理を行なってください。

車種による価格差が大きいホンダの中古車

ホンダの中古車は車種によって大きな価格差があります。S2000やS660といった絶版・現行車に関わらずスポーツカーにはプレミアム価格がつき、5ナンバーサイズのミニバン、ステップワゴンや車数の多いフィットは比較的安定した価格推移をしている一方で、ネームバリューが低いことから状態の良い車種でも低値傾向にある中古車もあります。

たとえばアコードとレジェンドの間を埋める車種として2012年9月まで販売されたインスパイアのハイグレードモデル新車販売価格は約410万円でしたが、中古車市場では2011年登録モデルで走行距離1〜2万kmの3.5Lエンジン搭載車が160〜180万円の範囲内で販売されています。

また2012年5月まで販売されていたフルサイズミニバン、エリシオンも低値傾向の中古車です。カスタム系のフロントマスクが人気のプレステージは新車販売価格が約426万円でしたが、2012年最終年度登録モデルで走行距離1〜2万kmと状態の良い車種の相場がすでに250〜270万円まで下がっています。ミドルアッパーセダンやフルサイズミニバンの購入を予定しているのであれば、これら絶版車は選択肢に入れておきたい車種といえます。

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