〜ホンダのスーパースポーツカー〜

2代目ホンダNSX〜3モーターのハイブリッドシステムを採用

ホンダのスーパースポーツカー、NSXは初代販売終了から10年を経て2016年5月に2代目が発売されました。V型6気筒をミッドシップに搭載したこと以外はすべて新しく、とくに駆動系は3つのモーターが装備されたハイブリッド仕様になっています。現在のホンダが持てる量産車技術を結集したフラッグシップモデルと呼ぶに相応しい車種です。


運転スキルをカバーして思い通りのラインをトレース

重いエンジンを車体の中央、ミッドシップに搭載するのはスポーツカーの基本でもあります。重量バランスは中央から後方が重くなり、後輪に荷重がかかりやすくなると同時に、コーナリングでは前後の慣性モーメントが小さくなるのでドライバーが意図するラインを忠実にトレースしますが、そのラインを少しでも外すと簡単にスピンしてしまいます。重心位置が中央にあるコマの回転を想像すれば理解できるでしょう。

初代NSXには現在のように慣性モーメントをコントロールする電子制御システムを備えていなかったので、運転スキルの低い人が無理なコーナリングを行うと必ずスピンして多少なりとも損傷を被っていました。2代目NSXは、運転スキルが若干低い人でも思い通りのコーナリングラインをスムーズに走り抜けることができるでしょう。それを可能にしたのが、左右の前輪に設置された2つのトルクベクタリングモーターです。

コーナー出口で加速するハイブリッド4輪駆動

トルクベクタリングとはコーナーへ進入した際、アンダーステアやオーバーステアを解消するために操舵輪や駆動輪のトルク配分を電子制御で的確に分散するシステムです。このシステムを搭載する車種はマツダ車を始めとして販売されつつありますが、それらは多板クラッチやブレーキ制御でコントロールしており、前輪をモーターで電子制御するのはNSXだけです。

トルクベクタリングを独立したモーターで行うメリットはパワー分散だけでなく駆動力を増大できることです。NSXは後輪をエンジンとモーターによって駆動させますが、コーナーでは進入時に前輪モーターの摩擦ブレーキによって減速を行い、コーナーリングの最中は内輪と外輪のパワーバランスを図り、コーナー脱出の際は回生エネルギーを利用して前輪にトルクをかけるので一般的なトルクベクタリングよりもハイパワーで安全なコーナリング走行が実現します。ハイブリッドシステムを最大限に活用した4輪駆動であることがNSX最大の特徴といえるでしょう。

BMWi8と主なスペックを比較

かつて多気筒大排気量エンジンを搭載してハイパフォーマンスを発揮していたスポーツカーメーカーも最近はハイブリッドやPHVを積極的に取り入れています。フェラーリは「ラ・フェラーリ」、ランボルギーニは「アステリオン」、マクラーレンは「P1」を販売、ポルシェもパナメーラにPHV仕様を用意しています。ここではNSXと比較的価格差が少ないBMWのi8と主なスペックを比較します。

NSXBMW i8
全長×全幅×全高(mm)4490×1940×12154690×1940×1300
車両重量1780kg1500kg
エンジンV型6気筒3.4Lツインターボ直列3気筒1.5Lツインターボ
最高出力373kW(507PS)/6500〜7500rpm170kW(231PS)/5800rpm
最大トルク550N・m(56.1kg・m)2000〜6000rpm320N・m(32.6kg・m)/3700rpm
モーターパワー 前27kW(32PS)・1基当り
後35kW(48PS)
前73N・m(7.4kg・m)1基当り
後148N・m(15.1kg・m)
96kW(131PS)
250N・m((25.5kg・m)
JC08モード12.4km/L19.4km/L
車両本体価格23,700,000円19,910,000円

i8はフロントに駆動ユニットを置くBMW伝統の後輪駆動で乗員定員も4名(ただし後部席は緊急用程度のスペース)のクーペタイプ、しかも燃費効率を重視したPHVであることから一概にNSXとの比較はできませんが、それでもわずか直列3気筒1.5Lをツインターボによって170kWまでパワーアップさせ、しかもJC08モードで19.4km/Lを達成させているのはさすがBMWといえます。

NSXに比べるとアンダーパワーであることは確かですが、エンジンを含めた駆動ユニットをコンパクトに設計しているので車重はわずか1500kgしかありません。ミドルクラスセダンと同等に抑えており、NSXに比べると280kgも軽量なので走行性能では十分なパフォーマンスを発揮するでしょう。燃費重視型とはいえ、スーパースポーツカーの風格を備えたPHVに仕上がっています。

走りの快感を知っている人には憧れのスポーツカー

NSXにしてもi8にしても、多少無理をすれば誰にでも買える、という車種ではありません。ハイブリッドやPHVを採用しているので燃費が良いとは言えども大人4人が乗って長距離ドライブができるわけではないし、荷物の積載量も限られています。また購入後のメンテナンス費用や保管場所でも一般的な車種より維持費がかかることは確実です。

物件によっては新築マンションも購入できる金額を、ただ走るだけのクルマに注ぎ込むことは一般的な考えでは常識外れとなりますが、走ることに関しては未体験ゾーンの快感を与えてくれます。ある程度の運転スキルがあり、走ることの快感を知っている人に取ってNSXは憧れのスポーツカーであることは間違いありません。

筆者の主観的所見

初代NSXはエクステリアのデザインや走行性能は十分にスーパースポーツカーの資格を備えていました。しかしコクピットに座った瞬間、まるで「シビック」そのものの内装に大きな落胆を覚えた人はけっして少なくないでしょう。2代目は初代に比べるとかなりマシになりましたが、それでもスーパースポーツカーに相応しい、心躍らせる空間になっているか、疑問です。

シートポジションやホールディング性、視認性といった実用面では日本車らしく高い性能を持っていますが、ステアリングデザインは一般車種とたいして変わらず、センタークラスターからコンソールにかけては、なぜか機能性を持たない太目のシルバーガーニッシュで加飾が施されており、これがスポーティな雰囲気をチープなラグジュアリー感に変えています。

ラ・フェラーリはステアリングをF-1と同じようなデザインにしてスイッチやボタン類を配置、パナメーラ・ハイブリッドは逆にポルシェ伝統の並列アナログメーターを採用しながらも細部にデジタルを取り入れて先進的なハイブリッドデザインに仕上げています。NSXのコクピットデザインは北米マーケットに向けて設計されているので仕方のない部分はありますが、もう少し日本的な美的感覚を取り入れた方が、より日本を代表するスーパースポーツカーとしての存在感を際立たせたことでしょう。

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