〜コンパクトカーを次々に開発〜

スズキ〜インドから世界に小型車を発信する

スズキ ロゴ

国内市場に限っては軽自動車のイメージが強いスズキですが、海外に目を向けるとコンパクトカー主体のメーカーといった認識を持たれており、世界85カ国販売台数ではプジョー・シトロエンに次いで第10位、約288万台を販売した実績を持っています。とくにインドでは54%と圧倒的なシェアを占めており、国内販売とは異なる豊富な車種を揃えています。

小型車ラインナップが豊富に揃っているマルチ・スズキ・インディア

南アジア最大の自動車製造企業であり、スズキの子会社であるインドのマルチ・スズキ・インディアのカー・ラインナップには豊富な種類の小型車が揃っています。インドの国民車構想に合わせて開発したマルチ800の後継車アルト800、新技術のオートギアシフトを搭載した2BOXハッチバックのセレリオ、コンパクトカーサイズでありながら7人乗り3列シートを備えているエルティガなど、単なる国内販売車の現地生産ではなく、インドのニーズに沿った車種の開発が行われています。

インドの国民車となったマルチ800は軽自動車の5代目フロンテを800ccに改良して販売されました。1台約20万ルピー(約32万円)という価格はインドでも最安値で、爆発的な販売成績を残しました。現在でもマルチ・スズキ・インディアで販売されている車種の中にはアルトK10、ワゴンR、オムニなど軽自動車をベースにエクステリアとエンジン排気量を拡大したモデルがあります。

自動車産業の乏しい国に向けて販売を強化したスズキ

軽自動車は国内基準によって作られているガラパゴス的存在ですが、それを国内だけに止めておかず、海外に向けて改良するといった流動性の高さがスズキの強み、特徴といえます。販売する国の事情に合わせて開発を行えばコストがかかりますが、既存の車種の一部を改良すれば低価格が実現でき、自動車産業が乏しい国に取ってはモータリゼーションを拡大できる車種となります。

1980年代、スズキのインド進出は失敗による経営危機まで予想されていましたが、2007年度には日本国内の販売台数を約4.5万台上回る約71万台をインド国内で販売、マルチ・スズキ・インディアで製造されたセレリオは北アフリカや東南アジアに輸出されています。またハンガリーのマジャールスズキで製造された欧州向けのコンパクトサイズトールワゴンのスプラッシュは欧州で好評だったことから、マジャールスズキより逆輸入して国内販売していた経緯があります。

インド子会社の労働者側と経営側の軋轢

インドで圧倒的なシェアを誇るスズキですが、必ずしも順調に成長を続けているというわけではなく、とくに経営側と労働者側の対立にはインドの子会社だけでなく日本の本社の悩みの種でもあります。マルチ・スズキ・インディアでは最大規模となるマネサール工場では2000年より大規模ストライキが度々発生しており、2012年7月には約100人の従業員が暴動を起こして人事担当幹部1名が死亡、日本人役員2名を含む約100人が負傷しています。

この背景には同じ工場内でカースト制度の序列に関係なく従業していること、左翼離れが進むインドでは左翼が危機感を覚えていることから活動家をスズキの工場に送り込んで扇動を行なっているなど複雑な要因があり、全面解決はけっして容易でないという現状を抱えています。

他社からの信頼度の高さを証明しているスズキのOEM供給

小型車に関しては突出した機能を備えているわけではありませんが、信頼性の高さが特徴となっています。国内外を問わず各メーカーはスズキからのOEM供給に積極的姿勢を見せており、マツダはインドネシア限定でエルティガのOEMを受けてVX-1というネーミングで販売、GMと資本提携していた時代はカルタスやエスクードといった小型車を供給していました。

国内では軽自動車を日産や三菱、マツダに供給しており、とくにキャブオーバー型のエブリイワゴンは3社とも販売、スズキを含めれば4姉妹車となっています。OEMは他社製を自社ブランドとして販売するので信頼性は欠かせない要素とななります。OEMのリクエストが多いスズキがいかに他社から信頼できる存在であるか、窺い知ることができるでしょう。

「脱軽依存」を掲げてコンパクトカーを次々に開発

スズキの小型車は国内販売において軽自動車の影に隠れた存在であることは否めませんが、「脱軽依存」を掲げているだけに次々とコンパクトカーを市場に送り込んでいます。とくに世界戦略車として開発したスイフトは国内外で評価が高く、販売成績も好調で2016年4月には累計販売台数500万台を達成しました。またコンパクトSUVのイグニス、ワゴンタイプのソリオ、スイフトの上級クラスとなるバレーノには燃費効率を高めるハイブリッドシステムが搭載されています。

スズキはジムニーで培った4WDシステムを搭載したクロスオーバーSUV、SX4やエスクードを販売していますが国内販売ランキングでは30位以内に入ることがありません。確かに国内では不人気車の部類に入りますが、インドを始めとする南アジアでは人気車種となっているため、スズキもこれらの車種に関してはあえて国内販売に力を入れず、南アジアでの販売を強化していることが感じ取られます。

軽自動車で培ったハイブリッドシステムを小型車に搭載

スズキのハイブリッドシステムはエンジンとトランスミッションの間にモーターを配置するパラレル方式で、エンジンアシストとなるためモーターだけのEV走行はできません。スズキはこれをマイルドハイブリッドと呼んでおり、軽自動車ではS-エネチャージという名称で搭載されていました。

そのシステムをコンパクトカーに応用したのでまったくの新設計というわけではありませんが燃費効率は格段に向上しており、トールワゴンタイプのソリオでJC08モード27.8kn/L、バレーノでも24.6km/Lを達成しています。両車とも新車販売価格は約140万円台という低価格を考えるとコストパフォーマンスの高い車種です。既存の技術を幅広く応用して車両本体価格を抑えるというスズキらしい特徴が表れています。

燃費測定不正で新たに検査した結果は?

ちなみに三菱自動車の燃費不正改ざん問題に続いてスズキも燃費不正測定が発覚しましたが、これはスズキ側が燃費測定を国土交通省の測定方法とは異なる方式であったことから問題視されました。

しかしスズキ独自の測定方法は燃費効率をより厳密に測るための試験だったことから、国土交通省による再テストを行なった際、全車でカタログ値をキープ、中にはカタログ値を上回る車種まで出るという結果に終わっています。ただし、独自の測定方法であっても法令遵守から現在は国土交通省の測定方法に則って燃費試験を行なっています。

価格は安いが車種によっては選択肢が少ないスズキの中古車

スズキの中古車は下がり幅こそ一般的ではあるものの、新販売価格が低いので相対的に安値傾向にあります。人気車種のスイフトは中古車市場に流通している車数が豊富なので状態の良い車種を探しやすい状態にあり、現行モデルで試乗車やデモカーに使われた走行距離1000km未満の車種が100〜110万円、走行距離2万km前後であれば75〜95万円の範囲内で購入が可能です。

人気車種以外も安値傾向となっていますが、国内販売台数が少ないために中古車市場に流通している車数も比例しており、グレードやボディカラーなど好みのタイプが選べないというデメリットを持っています。しかし妥協点を見い出せばコストパフォーマンスの高い中古車が多く、たとえば新車販売価格約218万円のエスクード2.4でも2014年登録モデルで走行距離1.5万kmと状態の良い車種が150〜160万円の範囲内で購入することができます。とくにコンパクトカーは軽自動車の上級モデルと変わらない価格だけに、選択肢に入れる価値は十分にあるといえるでしょう。

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