〜欧州で人気〜

マツダ〜SKYACTIV技術で元気を取り戻す

マツダ ロゴ

マツダは1980年代後半から1990年代にかけて販売チャンネルの多角化に失敗、フォードの出資率が上がって一時的に合弁企業となり、さらにロータリーエンジンの生産終了など存続そのものが危ぶまれる時期もありました。しかし2010年に発表されたSKYACTIV TECHNOLOGY以降は業績を上昇させ、2017年度3月期のグローバル販売台数は約155万台が見込まれています。とくに欧州での伸び率が良く、前年比22%増を達成しています。

クルマ作りのすべてを刷新したSKYACTIV TECHNOLOGY

ニューモデルあるいはフルモデルチェンジといっても、一般的には既存のプラットフォームやエンジン、トランスミッションを流用します。たとえばプラットフォームを刷新しても既存のエンジンやトランスミッションを使うことで全体的なデザインに対して制約が生まれ、本来、ニューモデルが求める全体デザインが中途半端に終わってしまうことがよくあります。

SKYACTIV TECHNOLOGYは既存の部品流用を行わず、主要部分をすべて最初から設計、ニューモデルに対して最適な部品を作り、コストや性能などあらゆる面で理想的な全体デザインに仕上げるクルマ全体に対する技術です。現在のマツダは基幹部品に関してすべて SKYACTIVの名称を与えており、コンパクトカーのデミオからフラッグシップモデルのアテンザまで全体デザインの統一に成功しています。

日本の伝統をスタイリングに取り入れたデザイン

SKYACTIV TECHNOLOGYの開発コンセプトとなっているのはブランドメッセージとなっている「Be a Driver」からも分かるようにクルマとの一体感、あるいは走る楽しさで、それをもっとも忠実に再現しているのがロードスターです。

初代は1989年、まだマツダが販売系列で5チャンネルを実施していた時代で、国内だけでなく世界中を見渡してもライトウェイトスポーツカーがほぼ全滅状態の中、発売されました。当初はバブル経済崩壊後にライトウェイトスポーツカーのような実用性を無視したクルマは売れない、という世論が圧倒的でしたがロードスターは着実に販売成績を伸ばし、翌1990年には世界で約9.4万台を販売、スポーツカーとしては異例のヒットとなりました。

初代ロードスターは単なる2シーターオープンカーではなく、日本的情緒が各所に盛り込まれています。フロントマスクは能面の「小面」、サイドラインも能面の「若女」をモチーフとしており、ボディに当たる光まで計算して局面を構成しています。シート表面には畳表の模様、リアコンビランプは江戸時代の分銅をデザインするなど、それまでのマツダ車には見られなかった独創的なフォルムを作り出しました。この設計コンセプトは現在のSKYACTIVデザイン、日本の美意識を強くアピールしている「魂動〜Soul of Motion〜」に引き継がれています。

SKYACTIVデザイン不採用となっているミニバン

マツダのラインナップの中にはSKYACTIVデザインが採用されていない車種もあります。ミニバンのプレマシーとビアンテは1世代前のデザインとなっており、販売台数はそれぞれ月単位で平均500台、250台前後という不人気車です。

プレマシーの現行車は2010年にフルモデルチェンジ、2013年にはマイナーチェンジを行なってエンジンやトランスミッションにSKYACTIV TECHNOLOGYを導入、スタイリッシュなボディに3列シートとスライドドアを備え、ユーティリティ性と操縦性を両立させた車種ですが、ライバル車となるトヨタのアイシスやホンダのジェイドに大きく水を開けられています。

ミニバン開発費用を人気のあるSUVに投入

ビアンテはトヨタや日産の5ナンバーミニバンに追従する形で開発され、わずかにボディサイズを大きくして車内空間の広さをアピール、2013年にはマイナーチェンジを行なってプレマシーと同様、SKYACTIV TECHNOLOGYを搭載しましたが販売台数は前述のように惨憺たる有様になっています。マツダはこの2車種に関して今後、フルモデルチェンジは行わずミニバン市場から撤退することを表明しました。

ミニバンの開発費用を現在好調なSUV、CXシリーズに集中させるという「経営資源の選択と集中」を実践する結果となりますが、国内販売においてミニバンはつねにランキング上位を占める車種となっているだけに、撤退が今後、どのようにマツダの経営に影響を与えるか注目されるところです。

フィアットとの技術協力協定で124スパイダーが復活

1979年から2007年の世界金融危機までマツダの筆頭株主だったフォードはその後、持ち株をすべて売却し、現在はフォードグループから独立した状態になっています。しかし国内外を問わず各メーカーとの提携は盛んに行なっており、スズキからは軽自動車のOEM供給を受けて販売、日産には商用車のボンゴとプレマシーのOEM供給を行なっており、日産ではそれぞれバネットとラフェスタハイウェイスターの名称で販売されています。

またフィアットはマツダと技術協力協定を結び、ロードスターをベースにした往年のライトウェイトスポーツカー、124スパイダーを復活させています。スポルト・スパイダーに採用されていたフロントグリルのハニカムデザインが再び使われているなど、初代をリスペクトしたデザインになっていることが特徴です。

トヨタと中長期の業務提携を合意

マツダは次世代エンジンとしてクリーンディーゼルに力を注いでいます。欧州では乗用車の約40%がディーゼル搭載車ですが、日本ではわずか0.1%に留まっており、燃費と環境性能においては圧倒的にハイブリッドシステムが優勢となっています。この背景には欧州が北海油田産、日本が中東産の軽油を使っているという理由もありますが、それはともかくマツダの販売店側が強くハイブリッド搭載車を要求していることから、マツダもアクセラにハイブリッド仕様を用意しました。

このハイブリッドシステムは SKYACTIVの名称が与えられているものの、モーターやパワーコントロールユニットなど主要部分はトヨタからの技術ライセンス供与によって実現しました。トヨタとは技術提携だけでなくOEM供給でも関係が始まり、デミオの海外専用モデルとなるノッチバックセダン、マツダ2セダンをヤリス・セダンのネーミングで北米・南米で販売するなど中長期的な業務提携を結びました。今後、両社がどのような相互作用を見せるのか、ミニバン撤退に次いでこちらも業界の注目を集めています。

ディーゼル搭載車に発生したリコール

マツダのクリーンディーゼルは高い評価を得ていますが、2014年から2016年にかけて販売されたCX-3デミオ、アクセラに搭載された一部のエンジンにリコールが発生しています。エンジン制御コンピューターの吸入空気量制御が働かなくなり、気筒内の燃焼濃度が濃くなって煤が発生、この煤がバルブの動きを悪くして加速不良や震動を起こし、最悪の場合は走行中にエンジンが停止する可能性もあります。

改善措置としては制御と対策のプログラムを修正、合わせてインジェクタや排気側バルブに堆積した煤を清掃するので、とりあえず前記した期間に購入した人はマツダのディーラーに問い合わせをしてください。対象車両は3車種合わせて約11万台となっています。

中古車ではディーゼルよりもガソリン車の方が賢い選択

マツダの中古車はSKYACTIV TECHNOLOGY搭載車に関わらず、統一デザインが果たされた現行車とそれ以前の車種で中古車価格が大きく異なります。現行車は新車販売時、値引きをほとんどしない営業方針に転換されており、以前の値引き幅が大きかった車種との差が中古車販売価格に反映していることが主な理由となっています。

たとえばSKYACTIV TECHNOLOGYを搭載した先代の2012年登録モデルで走行距離1.5〜2.5万kmの状態の良い車種では相場価格が80〜90万円であることに対し、現行車の2014年登録モデルで走行距離2〜3万kmの条件では140〜150万円が相場価格となっています。

また同車種でもガソリンエンジンに比べてディーゼルエンジンの方が10〜15万円割高になっています。ディーゼルエンジンは頑丈ですが、やはり乗用車は10万km前後で他の部品を交換するようになります。20〜30万km乗り続けるならともかく、10万km前後、あるいはそれ以前に手放すつもりであるならば、軽油で走るという以外に大きなメリットはありません。実用本位で中古車を購入するなら、先代モデルのガソリン車を購入するのがベストチョイスとなるでしょう。


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