〜コスパが高いクリーンディーゼル車〜
マツダ・デミオ〜上位クラスと統一デザインを採用している
マツダのデミオは2BOXハッチバックのコンパクトカーです。2014年にフルモデルチェンジされた4代目はマツダの統一デザイン「魂動-Soul of Motion-」が採用され、躍動感あふれるエクステリアと高級感のあるインテリアが与えられました。1.3Lのガソリンエンジンと1.5Lのディーゼルエンジンが設定されています。
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マツダの倒産危機を救った初代デミオ
デミオの初代は1996年に発売されました。当時のマツダはトヨタに追従する形でディーラーの多チャネル化を行いましたが、それに合わせるために車種を急増したこと、車種を強引に販売するため値引き幅を大きくしたことなどが経営を圧迫、倒産の危機まで追い込まれました。
その危機的状況を救ったのがデミオです。既存のコンポーネントを利用してコストを下げ、ボディサイズを小型車枠に収めたミニバンタイプを開発、荷物を多く積載できてシートもフルフラットになるなど機能性に特化したデミオはバブル経済崩壊後の実利志向にぴったりとマッチしたことから大ヒット車種となりました。
2BOXハッチバックスタイルになったのは3代目からで、マツダの次世代技術であるSKYACTIVが初めて投入された車種となります。単なる実用主義のコンパクトカーではなく、運転する楽しさを体感できるためのサスペンションやシートポジションなどが設計に盛り込まれていることが特徴で、4代目はこの特徴を明確にして引き継いでいます。
1.3Lガソリンエンジンと1.5Lディーゼルエンジンの比較
4代目現行車で大きな話題に上がったのが1.5Lクリーンディーゼルエンジンです。以下に1.3Lガソリンエンジンと1.5Lディーゼルエンジンを搭載したグレードの主なスペックを比較しました。
13C(1.3Lガソリン) | XD(1.5Lディーゼル) | |
全長×全幅×全高(mm) | 4060×1695×1500 | |
車両重量 | 1030kg | 1130kg |
最高出力 | 68kW(92PS)/6000rpm | 77kW(105PS)/4000rpm |
JC08モード | 121N・m(12.3kg・m)/3600rpm | 250N・m(25.5kg・m)/500~2500rpm |
最大トルク | 24.6km/L | 26.4km/L |
車両本体価格 | 1,350,000円 | 1,782,000円 |
ここで上げたグレードはベースモデルでトランスミッションは6速オートマチックの設定になっています。1.3Lには5速マニュアル、1.5Lには6速マニュアルが用意されており、1.3Lは燃費効率が下がってJC08モードは21.8 km/L、1.5Lは逆に上がって30.0km/Lです。
ガソリンエンジン1.3Lでも十分なコストパフォーマンス
1.3L、1.5Lともにベースグレードから上級グレードにステップアップするに従い、車内装備は豪華になっていきますが、ベースグレードだからといってチープ感はなく、とくにインテリアはブラックとシルバーの基調デザインが守られており、インパネ中央にあるインテリジェント・ドライブ・マスター用のディスプレイも標準装備されているので、シンプルに乗りたいという人であれば13Cでも十分に満足できるでしょう。
コンパクトカーのベースグレードであってもフルサイズの上級グレードとインテリアを統一デザインにして高級感を与える手法はドイツ車に見られる傾向です。国内ではライバルとなるフィットやヴィッツのベースグレードにおけるインテリアの差は歴然で、コンパクトカーのジャンルでデミオが躍進する要因のひとつにもなっています。また価格面でもフィットのFが約129.9万円、ヴィッツのFが約144.8万円であることを考えれば、コストパフォーマンスでも十分に対抗できる車種といえます。
他のコンパクトカーには見られない運転する楽しさ
実用的なコンパクトカーでも運転の楽しさを味わいたい、という人であればデミオは最適な車種となります。4代目現行車から前輪位置を80mm前方に移動したことでFFでもドライバーが自然に足を伸ばしたポジションにペダルを配置、シートスライドやステアリングのチルト&テレスコピックの調整範囲を広げたことでどのような体型の人でもベストポジションが取れるようになりました。
コンパクトカーは空気抵抗を減らして燃費効率を高めるためにフロントピラーを寝かせる方向にありますが、デミオはあえて80mm後退させ、視認性を上げています。また、些細なことですがアクセルペダルをスポーツカーが好んで採用するオルガンペダル(一般のペダルは吊り下げ式)にしている点も運転の楽しさを高めてくれます。
筆者の主観的所見
マツダは世界でも類を見ない1.5Lのディーゼルターボエンジンを開発、デミオに搭載しました。デミオの内訳ではディーゼル搭載車の方が販売台数は多く、下取り価格もガソリンエンジン車より高く設定されています。評判の高い1.5Lディーゼルですが、購入する際はガソリンエンジン車との違いをしっかりと把握してから決めるようにしましょう。
1.5Lディーゼルのトルクはスペック表でも分かるように低速域でガソリンエンジンの2.5L並のパワーを発揮します。
この加速感に大きな期待を寄せると肩透かしを味わう可能性があります。デミオはシングルターボのため、一定の回転域に達しないとターボが効かないため、走り始めはむしろガソリンエンジンよりもパワーが少なく、一定の回転域に達した時に高トルクを発揮します。マイルドな乗り心地を求めるなら1.3Lガソリンエンジン搭載車がお勧めです。
デミオに限ったことではありませんが、現在、クリーンディーゼルと呼ばれている車種は一酸化窒素などの有害物質を減少させるとディーゼルの欠点である粒子状物質、PM(これが黒煙となって排気ガスに含まれる)が増えてしまいます。このPMを捕集するフィルターがDPFで、一定期間経過すると溜まったDPFを燃焼させなければなりません。車側が自動的に燃焼を行いますが、PMを燃焼させている時は一時的に燃費効率が悪くなります。
さらにディーゼルは燃料に軽油を使うので燃料タンクに水が溜まりやすくなるため、定期的に水抜き作業を行わなければなりません。マツダでも上位クラスのディーゼル搭載車種は自動的に水抜き作業を行なってくれますが、デミオは15,000〜20,000km走行毎に定期的に水抜き作業を行う必要があります。なお、ガソリンエンジンに使う水抜き剤を使うとエンジンが損傷する恐れがあるため、絶対に使用しないでください。
以上のように、クリーンディーゼルといってもディーゼル特有のエンジン特性やメンテナンス方法があります。これらを面倒と感じる場合はガソリンエンジン搭載車を選んだ方が無難です。