車のボディの塗装構造
自動車メーカーが新車生産のボディを塗装するとき、基本になる「下塗り→中塗り→上塗り」の3工程の塗装と、数回のクリア塗装で重ねられています。塗り重ねられた総塗装膜は厚くても0.1㎜程度といわれています。
ソリッドは単色の上塗り塗料、メタリックは金属粉(アルミの粒子)を混ぜた上塗り塗料、また上記以外で代表的なパールはマイカ(石の雲母)の粒が混ぜられた上塗り塗装です。メタリック・パールは色の艶や、光沢、深みをを出すために数回のクリア塗装や、中塗り・上塗りを2度以上行うこともあります。
また、「3コート3ベーク」とは「3回塗り3回焼付け」の厚膜塗装を表します。一層ごとに塗料を塗布するコート工程と、コート塗膜を頑丈にするために各層ごとに140°〜170°の温度で乾燥焼き付け(ベーク工程)が施されています。*7層以上に塗り重なられる塗装もあります。
- 上塗り 通称トップコート。耐水性・耐熱性、外気環境からの保護に優れたメラニン樹脂塗装。
- 中塗り サーフェイサーで表面を整える。衝撃から塗膜を守り、耐久性向上のために塗られる。
- 下塗り プライマー(下地)とも呼ばれ、塗着に優れ、防錆効果が高いカチオン電着塗装。
塗装の強度が違う
ボディカラーの強度は、パール塗装よりメタリック塗装が傷みやすいといわれ、さらに層が浅くなるソリッド塗装は最も傷みやすいことになります。
熱と紫外線で退色する
熱と紫外線に弱く、クリア塗装の剥げや、色素が分解して遜色する原因になります。特に青空駐車が多い場合は車庫駐車に比べ、顕著になります。
電着塗装とは、電気的に塗装するわけではありません。
カチオン電着塗装
負(ー)の電荷を帯びた車のボディを、正(+)の電荷を帯びた電着塗料(導電性の高い水性塗料)の溜まったプールの中に浸し、数分間通電させます。その結果、+ーの電気的な結合で塗料がボディに吸い付きます。
この方法がボディの下地塗装(錆び止め)に一般的に採用されています。密着性が極めて高く、コストパフォーマンスも大変高いので採用されています。
カチオンとは、正電荷を帯びた陽イオンのことです。反対に、負電荷を帯びた陰イオンのことをアニオンと呼びます。