洗剤(中性・アルカリ性・酸性)の違いと使い分け方
カーショップやホームセンターで販売されているカーシャンプーの洗剤には中性・アルカリ性・酸性の3種類があります。
この3つ洗剤は、それぞれ得意とする汚れがあります。
一般的なカーシャンプーは中性洗剤

洗車で使用される最も一般的な洗剤は中性洗剤です。洗浄力は低いものの、塗装の表面に影響が少ないので洗車に一番向いている洗剤です。
弱アルカリ・酸性洗剤より劣りますが、金属・塗装面への刺激が少なく、水汚れ(水垢等)や油汚れ(古いワックスの成分等)を分解でき、ほとんどの素材に安心して使用できます。
中性の家庭用洗剤を使っても大丈夫?
中性であれば、家庭用の製品を使っても問題はありません。ただし、車専用の洗剤は、ボディのために泡立ちや、水滴の残り等の仕上がりのために調整している製品です。洗車後は十分な洗剤の拭き取りが必要です。
アルカリ性洗剤は油分を分解する能力が高い
強力な洗浄力のある洗剤は弱アルカリ性の製品が多く、排気ガスの汚れや、足回り・ドアヒンジなど油分を多く含む汚れは中性洗剤より落としやすくなります。
アルカリ性はサビを起こさせにくい特性があります(とはいえ、洗車後には十分に洗剤をすすぎ洗いが必要)。また、ボディの表面についた有機物質を溶かして汚れを落します。
アルカリ性洗剤は有機物(脂肪・タンパク質など)を分解します。油汚れ・カビ・虫の死骸・鳥の糞のことです。
アルカリ性洗剤の得意な汚れ
アスファルトに含まれているビッチ・タールという油性の物質が、油汚れとして走行中のボディに付着します。一度油汚れがボディの表面に付くと、空気中の汚れを吸着してしまいます。
また、高速道路やよく走る車のボディは虫の死骸が付着する機会が増えるので、汚れが目立つと感じるならアルカリ性洗剤を使うとよいでしょう。
アルカリ性洗剤の注意点
強いアルカリ性になると、プラスチック部分への刺激が強いので注意が必要で、特にアルマイト処理されたホイールには使用できません。
弱アルカリ性洗剤を使う場合の注意点は、洗剤の残り成分が「強アルカリ」に変質してしまって、浸食がはじまってしまう可能性があります。流水で十分な洗剤のすすぎ洗いが必要です。
新車から数年の純正塗装の場合は問題ありませんが、古いモデルの車種の塗装面では刺激が少し強くなる恐れがあるので注意しましょう。
アルカリ性洗剤に酸性洗剤を混ぜても、中和作用で洗浄力が弱くなりますが危険ではありません。
酸性洗剤を洗車に使うときは限られている
日常的な洗車に、酸性洗剤を使うことはありません。酸性は鉄やステンレスを溶かす性質があるからです。しかし、ボディやウィンドウにできてしまったイオンデポジットを取り去るには、酸性の洗剤を利用する場合があります。
また、2〜5月に中国から飛来してくる黄砂はアルカリ成分なので、弱酸性シャンプーで洗車して黄砂のアルカリ性を中和させることができますが、特に注意が必要な洗剤なので、弊サイトでは酸性洗剤の使用はお勧めしません。
酸性洗剤は無機物(カルシウム・鉄など)を強力に分解します。「汚れ落を落とす」能力としては、アルカリ性洗剤が上になります。
無機物は、鉄粉・鉄錆・水垢など燃えないものが多く、家庭用洗剤では、トイレ用の洗剤が酸性洗剤です。
酸性洗剤が得意な汚れはイオンデポジットやブレーキダストの鉄粉
ガラス系・ポリマー系のコーティングは、イオンデポジット(コーティングの表面で雨の水分が乾いて固着したミネラル成分)ができるのが欠点で、これは通常の洗剤では全く歯が立ちません。これを除去するためにはボディの塗装面を研磨するか、イオンデポジット除去剤を使用するかしかありません。
ほとんどのイオンデポジット除去剤が酸性洗剤なのです。また、ガラスのウロコ落としや、ブレーキダストの鉄粉を取り除くときにも使用されます。
酸性洗剤の注意点
ボディーに酸性洗剤を使った後、水で完全に洗剤成分を洗い流さないと、塗装面が酸焼けして白濁・曇ってシミになってしまいます。これを放っておくと、塗装面より下の金属皮膜まで侵食して錆びの原因になってしまいます。
酸性・アルカリ性・中性の3つの洗剤を、どの組み合わせで混ぜても危険ではありませんが、酸性と塩素系の洗剤や漂白剤を混ぜると危険です!
塩酸・硫酸・フッ化水素酸など強力に溶かして洗浄する洗車業者がありますが…
これらの洗剤は、危険物取扱者の資格が必要になりますので、くれぐれも洗車に使用しないように注意して下さい!
洗剤は薄めて使いましょう
洗車は良く汚れを落とすことが大事ですが、基本的にどの洗剤でもすすぎ残しがあると洗剤の成分がシミになったり、乾燥後も汚れがつきやすくなります。しっかり洗い流すことも大切で、すすぎ残しができないように洗剤は使用前に水で薄めることをお勧めします。
洗剤を薄める目安は、ます薄めてみた洗剤を手につけて軽くすすぎます。すすぎ後、手のヌルヌルがすぐにとれれば、良いシャンプーの濃度になっていると考えてよいでしょう。