〜2016年にビッグマイナーチェンジ〜

トヨタ・エスティマ〜子供のいる家族には不釣り合いな高価格ミニバンか?

エスティマは3ナンバーサイズ(普通車枠)のミニバンです。2016年にビッグマイナーチェンジを行い、フロントマスクをトヨタ共通のアイコンになりつつある大口径のラジエターグリルに変更されました。エクステリアはワンモーションのタマゴ型を継承しており、スタイリッシュなミニバンとして高い評価を受けています。

メーカー車両情報・トヨタ エスティマ

タマゴ型シルエットは初代から

エスティマの初代は1990年に登場しました。当時より革新的なデザインを取り入れており、エクステリアはセンターピラー以外をガラス面で覆ったピラーレスにして曲面構成を強調、エンジンは前席床下にレイアウトするキャブオーバー型でしたが、エンジンを横向きに75度傾斜させ、平床化を実現させています。

サスペンションにも4輪独立懸架を採用するなどトヨタにしては珍しく野心的な車種でしたが、その革新性が大衆受けしなかったのも事実で、一部のコアなファンに歓迎されたものの販売成績は苦戦を強いられました。

2代目よりエンジンをフロントにレイアウトして前輪を駆動させるスタンダードなミニバンへ変更しましたが、エクステリアは初代のコンセプトを引き継ぎ、ワンモーションのタマゴ型フォルムを採用、2006年のフルモデルチェンジで3代目となった現行車はセンターピラーまでブラック塗装してフローティングルーフのデザインとし、スタイリッシュな外観にまとめています。

ライバル車「ホンダ・オデッセイ」とのスペック比較

プラットフォームはトヨタのフルサイズミニバン、アルファード/ヴェルファイアと共通ですが、競合を避けるためにワンサイズ小さくなっており、5ナンバーサイズのミニバン、ヴォクシーとアルファード/ヴェルファイアの隙間を埋める車種となっています。

エスティマと同サイズのミニバンは意外に少なく、ライバルとなるのはホンダのオデッセイしかありません。ここでは両車の主なスペックを紹介、比較します。

エスティマ(AERAS SMART)オデッセイ(ABSOLUTE・X)
全長×全幅×全高(mm)4820×1810×17454830×1820×1685
客室内寸法3010×1580×12552935×1625×1325
車両重量1780kg1760kg
JC08モード11.4km/L13.6km/L
最高出力125kW(170PS)/6000rpm140kW(190PS)/6400rpm
最大トルク224N・m(22.8kg・m)/4000rpm237N・m(24.2kg・m)/4000rpm

主なスペックを比較しても大きな違いは見られません。また車内装備や予防安全装置に関しても両車、ほぼ互角の内容となっています。エスティマ現行車のフルモデルチェンジが2006年であることに対してオデッセイ現行車は2013年と比較的新しく、エスティマの特性をよく研究している結果といえるでしょう。

2列目キャプテンシートにはオットマンも装備

両車とも客室内高は軽スーパーハイトワゴンよりも低いのですが、室内長が長いので足元に大きな余裕があります。エスティマの場合、3列目シートを床下に収納すると2列目が最大800mmまでスライドさせることができます。7人乗りは左右が独立したキャプテンシートとなり、シート両側にアームレスト、足元にはオットマンが装備されているので旅客機のビジネスクラス並の快適性が確保されます。

単眼カメラとレーザーレーダーを使う予防安全装置

エスティマのAERAS SMARTグレードにはトヨタの最新安全予防装置Toyota Safety Sence Cが標準装備されています。このシステムはフロントガラス上部に単眼カメラとレーザーレーダーを装着、先行車と衝突の危険を察知した時は速度に応じて強制的に減速、さらに衝突が回避できない場合は緊急ブレーキを作動させます。

また単眼カメラによるレーン逸脱予防やレーザーレーダーによる先行車が発進した時の告知、オートマチックハイビームによる夜間の歩行者早期発見などアクティブセーフティの機能が充実していることもエスティマの大きな特徴です。

オデッセイもこれらと同等の装備や予防安全装置を備えており、さらにエスティマの上級車種となるハイブリッド車も同じく設定しています。しかもAERAS SMARTグレードの車両本体価格は約351.4万円、オデッセイのABSOLUTE・Xは約328.6万円とエスティマよりも低く設定されています。

エスティマが2016年にビッグマイナーチェンジを行なっているのでフルモデルチェンジが先延ばしになることを考えると、両車の比較ではスペック的にエスティマの方が不利といえるでしょう。

最終決断はディーラーの接客態度や値引き幅も考慮に

ただし、車はスペックだけで比べられるものではないので、購入する際は必ず試乗し、細かい点まで比較してどちらが気に入るか確かめてください。最終的には好みやディーラーの値引き幅が決定要素となります。

前述したようにエスティマの全高は軽トールワゴンより低いため、小さな子供のいる家族には高価格であることも含めてあまり向いていません。子育てを終え、生活にゆとりができて、レジャーで遠距離ドライブを楽しむ人に向いています。

筆者の主観的所見

2016年にビッグマイナーチェンジを行なったので、前期モデルの中古車価格が安くなっています。現行車との大きな違いは予防安全装置の有無とフロントマスクで、基本的なデザインに変更はありません。前期モデルでも現行車と同じようなゴージャスな雰囲気は十分に味わえるので、新車販売価格を高いと思う人は今が中古車の狙い目です。

2017年まで車検残のある2014年登録モデルであれば乗り出し価格(総支払額)で300万円を切る車種もあります。ボリュームゾーンとなっているのは2009〜2010年登録モデルで、走行距離4〜5万kmの場合、車両本体価格は150〜170万円が相場の中心となっています。これらの車種にはHDDカーナビなど豪華オプションを装備している車種が多いので、コストパフォーマンスでも優れています。

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