〜軽自動車からのサイズアップ〜

ダイハツ〜軽自動車の効率性をコンパクトカーに応用

ダイハツ ロゴ

ダイハツの国内販売台数は約60万台でマツダの約24.5万台を大きく上回っており、国内に限っていえば日産に次いで第5位となっています。ただし、この大半は軽自動車の販売台数であり、軽スーパーハイトワゴンのタントだけで年間23〜24万台を販売しています。

普通車に関してはこれまでもコンパクトカーを製造、トヨタや同じグループ企業のスバルにOEM供給を行なっていましたが、オーソドックスな車種であることから話題に上がることはほとんどありませんでした。しかし最近になってライバルであるスズキが「脱軽依存」を掲げたこと、軽自動車需要が落ち始めてきたことなどを受け、積極的にコンパクトカーの開発・販売に乗り出しています。

意欲的なコンパクトタイプ2車種を発売

ダイハツは2016年、コンパクトカーのブーンをフルモデルチェンジ、さらにニューモデルとしてコンパクトサイズのワゴンタイプであるトールの2車種を相次いで発売しました。どちらも軽自動車製造で培ったノウハウが活かされています。以下に両車の主な特徴を記しました。

◯ブーンの特徴

・全長3660mm、全幅1665mm、全高1525mmのコンパクト2BOXハッチバックカー
・トヨタのヴィッツを上回るJC08モード28.0km/Lの低燃費
・好みに応じて2種類のフェイスマスクから選べ、ボディカラーは最大19色から選べる

◯トールの特徴

・全長3720mm、全幅1670mm、全高1735mmのスーパーハイトワゴン
・コンパクトカーとは思えない広々とした車内空間と高いユーティリティ性
・派生車種のカスタムを設定、好みに応じて好きな方を選べる

軽自動車からのサイズアップを図ったコンパクトカー

従来のコンパクトカーは普通車や小型車のダウンサイジング版という発想で作られていましたが、今回、ダイハツが発売した2車種はむしろ軽自動車のサイズアップ版というイメージで作られています。軽自動車はボディサイズが規格で定められているために車内空間の狭さが最大のウィークポイントであり、その欠点を補おうと各メーカーは工夫を凝らしてきました。

ボディサイズの制限が解かれた2車種は軽自動車が持つ操縦性やユーティリティに加え、ウィークポイントであった車内空間の狭さも軽自動車で空間スペースを確保した技術で補っています。また車内装備もコンパクトカーのワンランク上と同等に仕上げており、軽自動車からステップアップするユーザーだけでなく普通車からダウンサイジングを図るユーザーの取り込みも十分に狙える全体デザインとなっています。

共通のプラットフォームと低燃費技術を流用

両車のボディサイズ、とくに全幅は5ナンバーサイズギリギリの1695mmではなく、余裕を持たせていることからも分かるように共通のプラットフォームによって作られています。トヨタ・Aプラットフォームと呼ばれるFF小型車専用で、しかもブーン現行車の先代モデルや販売終了したクーなどにも使われていました。

現行車で刷新された軽量高剛性ボディや剛性向上のサスペンションはダイハツの軽自動車に採用されているDモノコックやDサスペンションの技術を流用、初代から使われている1.0L直列3気筒の1KR-FE型は吸気ポートやインジェクターをデュアル化して改良を施していますが、これもミラ・イースで培った燃費向上技術、イーステクノロジーが使われています。

低開発コストで高い利益率を生み出す営業戦略

ダイハツの営業戦略として上手いところは既存パーツを流用してコストを下げ、市場のニーズにマッチした車種を販売する手堅いところでしょう。かといってまったく新技術を投入していないわけではなく、独自に開発した低燃費技術や単眼カメラとレーダーレーザー、ソナーセンサーの3つを装備して安全性を高めた予防安全装置、スマートアシストⅡなどセールスポイントもしっかりと備えています。

ブーンとトールは親会社となるトヨタ、グループ会社のスバルにOEM供給を行なっています。とくにトールはトヨタがバッジエンジニアリングでルーミーとタンクの2車種を販売しているため4姉妹車となります。国産車の中でもトップクラスの高効率を持っている車種といえます。

ダイハツの3ナンバー普通車は年間販売台数100台以下

ダイハツはコンパクトカーだけでなく3ナンバーサイズの普通車も2車種販売しています。1つはセダンのアルティス、もう1つはステーションワゴンタイプのハイブリッドカー、メビウスです。どちらもトヨタからのOEM供給車でアルティスの元車はカムリ、メビウスはプリウスαが元車です。ただし、プリウスαには3列シート7人乗りが用意されていますがメビウスは全グレードともに5人乗りとなっています。

元車となったカムリはトヨタの世界戦略車として開発され、北米だけで累計販売台数1,000万台を突破するというベストセラーカーですが、国内販売ではマークXとバッティングするため積極的な販売戦略が取られていません。

またプリウスαも派生車種でありながら新車販売台数トップ常連のプリウスに比べると少なく、約1/2から1/3程度に留まっています。トヨタでさえ不人気車となっているだけにダイハツ・ブランドによる販売台数は極端に少なく、両車ともに年間で100台を下回っているのが現状です。ダイハツとしても積極的に販売する、という姿勢は見受けられず、むしろ社内消費や取引先消費が主体となっています。

海外進出ではインドネシア以外で苦戦

軽自動車開発ではライバルとなるスズキがインド進出で成功したことに対して、ダイハツの海外進出は現在のところ、あまり成功しているとは言えません。1989年には小型車の需要が北米で高まったことから市場への参入を試みましたが、ダイハツ・ブランドの知名度が低いことから1992年に撤退、さらに一時進出していたオーストラリアや欧州、ベトナムからも撤退しています。

比較的好調な業績を上げているのがインドネシアで、地元の自動車販売会社アストラ・インターナショナルと合弁会社「アストラ・ダイハツ・モーター」を創設、ジャカルタのスンター工場ではダイハツとトヨタブランドの製造を行なっており、年間30万台を生産しています。トヨタのキャブオーバー型商用車、ハイエース/ライトエースのバン・トラックはアストロ・ダイハツ・モーターで生産されたグランマックスを逆輸入して販売しているモデルです。

ダイハツの中古車は安値傾向だが車数が少ない

軽自動車の中古車市場では高値安定型のダイハツですが、コンパクトカーにおいては比較的安値で推移しています。トールの先代モデルに該当するコンパクトワゴンタイプのクー、またブーンの先代モデルはどちらも2013年登録モデル走行距離2〜3万kmと状態の良い車種で100万円を切っており、80〜90万円が中心価格帯となっています。2010年登録モデルになると5万kmの走行距離で50万円前後と軽自動車よりも安い価格で販売されていますが、流通している車数が両車とも極端に少ないため、好みのグレードやボディカラーを探すのはかなり難しい状況といえるでしょう。

ブーンやクーを安い価格で、しかも好みのタイプを探すのであればOEM供給車となっているトヨタのパッソやbBを購入対象にした方が賢明です。どちらも車数が豊富に流通しており、状態の良い車種も揃っています。bBは中古車市場で人気車種となっているため、やや高値傾向となっており、2014年登録モデル走行距離2〜3万kmの場合、150〜170万円が相場です。対してパッソは安値傾向にあり、2014年登録モデル走行距離1〜2万kmの場合は80〜90万円が相場です。

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