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日産エクストレイル〜世界初の新機能を搭載したクロスオーバーSUV
エクストレイルは日産が販売しているミドルサイズのクロスオーバーSUVです。エクステリアはオンロード向きデザインとなっていますが悪路走破性もSUVとしての機能を十分に果たしており、オフロードでの姿勢変化や振動を制御するアクティブライドコントロールやフットブレーキの負担を軽くするアクティブエンジンブレーキなどの新機能を装備しています。また、ハイブリッド仕様をメイングレードに設定していることも特徴のひとつでしょう。
初代から2代目にかけて10年連続SUV販売台数第1位を獲得
2000年に登場した初代はボンネットタイプのオフロードSUVで、200万円を切る価格で発売されました。
ラダーフレームを使った本格的なヘビーデューティー仕様ではなく乗用車と同じモノコックボディを採用しており、4WD方式も電磁多板クラッチを使ったスタンバイ4WD(4輪のうち、どれかひとつのタイヤが滑ると電子制御で4輪駆動にするシステム)でしたが、車内装備やラゲッジスペース床面に防水機能を持たせるなどアウトドア・レジャーでのユーティリティ性が高いことから好評価を得ました。
発売翌年となる2001年より10年連続で日本国内のクロスオーバーSUV販売台数第1位を獲得したことが、その証といえます。
3代目は世界戦略車としてスタイリッシュに変身
2013年にフルモデルチェンジされた3代目は初代のヘビーデューティーな外観と異なり、スタイリッシュなフォルムにデザインされています。国内のエクストレイル・ファンからは落胆の声が多く聞こえましたが、この変化の背景にはエクストレイルが統合された世界戦略車であることが理由に上げられます。
欧州ではキャシュカイ、北米ではデュアリスのネーミングで販売していたSUVをエクストレイルに統一するため、販売戦略上デュアリスの持つスタイリングイメージを継承する必要がありました。ただし内装は従来路線を継承しており、ラゲッジスペースやシートには防水仕様が設定されている他、ラゲッジボードを利用して多目的に使える機能も追加されています。
マツダのCX-5と主なスペックを比較
ミドルクラスのクロスオーバーSUVは国内走行に最適なサイズであることから各メーカーより販売されています。ここでは比較的性質が近いマツダCX-5と主なスペックを比較します。
エクストレイル20S HYBRID | CX-5 XD | |
全長×全幅×全高(mm) | 4640×1820×1715 | 4540×1840×1705 |
客室内寸法 | 2005×1535×1270 | 1910×1530×1220 |
車両重量 | 1630kg | 1560kg |
エンジン最高出力 | 108kW(147PS)/6000rpm | 129kW(175PS)/4500rpm |
エンジン最大トルク | 207N・m(21.1kg・m)/4400rpm | 420N・m(42.8kg・m)/2000rpm |
モーター最高出力 | 30kW(41PS) | – |
モーター最大トルク | 160N・m(16.3kg・m) | – |
JC08モード | 20.6km/L | 18.4km/L |
エクストレイルはハイブリッド、CX-5はクリーンディーゼルという特徴がエンジンスペックに大きな違いを示しています。CX-5の420N・mを2000rpmで発揮するディーゼルらしい低回転高トルクパワーは悪路走行の際の心強い味方になってくれます。
エクストレイルのエンジンとモーターのパワーは車両重量に対してやや物足りない数値となりますが、日産独自のハイブリッドシステムはエンジンとモーターの駆動力を同時に発揮させることができるので、統合されたパワーはCX-5に匹敵し、実走行では力強い粘りと爽快な加速感を味わうことができます。
世界初となるアクセルとブレーキの同時制御システム
エクストレイルの悪路走破性は従来の4輪駆動制御システムALL MODE 4×4-i機能に加え、アクティブライドコントロールによって向上しています。これは悪路を走行中、サスペンションの微細な動きから凹凸を予測し、車体の揺れや振動を駆動力とブレーキの制御によって軽減するというシステムです。これまで路面の振動を伝えないシステムは主に駆動力の電子制御でしたが、ブレーキまで取り入れた技術は世界初となります。
同じくブレーキ機能の制御によって機能するシステムがアクティブエンジンブレーキです。コーナーの進入口や減速時、ドライバーがフットブレーキをかけると自動的にエンジンとトランスミッションのCVTを調整、ドライバーの操作負荷を軽減してくれます。また4輪すべてのブレーキを走行状況に応じて別々に制御、安定性を高めるアクティブトレースコントロールも新機能のひとつです。日産はこれらを統合して新シャーシ機能と呼んでいます。
アクティブに行動したい人には最適の車種
インテリアはブラックで統一されており、インパネやダッシュボードはシルバーメッキモールで加飾されていますが、基本的に従来路線を踏襲したシンプルなデザインとなっています。スパルタンな雰囲気を持っており、アスリートに取ってはラグジュアリー感よりも実用性があって好ましいインテリアといえるでしょう。
エクストレイルには2列シートの他に3列シートモデルも用意されています。アウトドアのレジャーに多人数で出かける機会が多い人や本格的にアウトドア・スポーツへ取り組んでいる人に取っては最適な車種です。
筆者の主観的所見
2代目エクストレイルでは2008年に欧州で販売されているクリーンディーゼル搭載車が販売されましたが、2013年のフルモデルチェンジでは早くもラインナップから姿を消しています。現行車にクリーンディーゼルモデルがないのは残念なことですが、じつは2代目クリーンディーゼル搭載車は3代目と並行して現在も販売されています。
最高出力は127kW(173PS)/3750rpm、最大トルクは360N・m(38.7kg・m)/2000rpmとディーゼルらしい低回転域高出力のスペックで、エクステリアも進入角度を表すアプローチアングルを広く取ったオフロード仕様にまとめられています。エコカー免税対象車であることもユーザーに取っては嬉しいポイントでしょう。すでに生産を終了しており、在庫販売だけとなるのでハイブリッドよりもディーゼルで走行したいという人は早めの決断をお勧めします。