〜中古車市場で人気〜

ホンダ・ストリーム〜乗用車感覚で運転できる5ナンバーサイズミニバン

ホンダのストリームは2014年6月まで販売されていたステーションワゴンタイプのミニバンです。立体駐車場に入庫できる低い全高と余裕のある3列目シート、取り回しの良い5ナンバーサイズの全幅が好調な販売成績に結びつきました。このコンセプトはハイブリッド車を主軸にしたジェイドに引き継がれています。

メーカー車両情報・ホンダ ストリーム

都市圏の狭い道路でもスムーズに走行できる操縦性

ホンダは乗用車の運転感覚を持つミニバンに対して早くから取り組んでおり、1994年には初代オデッセイを発売しています。この車種はアメリカ市場での販売も予定していたため、全幅が3ナンバークラスで設計されました。国内でも好調な販売成績を残しましたが、唯一のウィークポイントと言われたのが狭い道路での取り回しの悪さです。

その欠点を補う目的で開発されたのが2000年に登場したストリームです。全高は都市圏に多い立体駐車場へ入庫できる1545mmとし、全幅は5ナンバーサイズの1695mmに収めました。またオデッセイは直進安定性と車内空間確保のためにホイールベースが2830mmもありましたが、ストリームはわずか2720mmに抑え、旋回性能を高めました。

ストリームは2006年にフルモデルチェンジを行なっています。初代は発売当初こそ人気を集めたものの、トヨタがまったく同じコンセプトのウィッシュを登場させると一気に販売成績が落ちたため、シェアを奪い返すべくスタイリッシュなボディと低重心化の新機能を備えて発売されました。発売翌年の2007年新車登録台数は約5.7万台となり、ウィッシュへ傾いていた人気の回復に成功しました。

トヨタのウィッシュと主なスペックを比較

2代目以降はフルモデルチェンジが行われておらず、販売終了まで約8年とロングスパンのモデルとなりました。ライバルとなったウィッシュも2009年のフルモデルチェンジで2代目を登場させましたが、その後はマイナーチェンジのみとなっています。5ナンバーサイズのボディを持つステーションワゴンタイプミニバン市場がけっして大きくないことが、この両車から窺い知ることができます。ここではウィッシュと主なスペックを比較します。

ストリーム1.8 RSZウィッシュ 1.8G
全長×全幅×全高(mm)4570×1695×15454590×1695×1590
客室内寸法2605×1460×12502660×1470×1315
ホイールベース2740mm2750mm
車両重量1420kg1350kg
最高出力103kW(140PS)/6300rpm105kW(143PS)/6200rpm
最大トルク174N・m(17.7kg・m)/4300rpm173N・m(17.6kg・m)/4000rpm
JC08モード13.2km/L16.0km/L

ウィッシュはストリームよりも2年遅れでフルモデルチェンジしており、優位性を打ち出すためにボディサイズを少しだけ拡大して車内空間を広く取っていることが特徴です。ステーションワゴンタイプはどうしても多人数乗員になると車内空間の圧迫感が強くなるため、ウィッシュはヘッドクリアランスに余裕を持たせると同時に、後部シートに向かうほどヒップポイントを高くするシアターレイアウトを採用、3列目シートでも前方の視認性を向上させて圧迫感の軽減を実現しています。

ホンダ独自の技術で車内の快適性を高める

ストリームはホンダらしい独自技術でユーティリティ性と居住性を高めています。車内空間はフィットで成功を収めたセンタータンクレイアウトを採用することにより低床化を実現、フロア全体をフラットに設計できたことから3列目シートに座っても2列目シート下に足を伸ばすことができる余裕を確保しました。

5ナンバーサイズなので3列目シートに座ると、どうしても左右のタイヤハウスによって座席幅が狭くなってしまいますが、ストリームはタイヤハウス上にアームレストとカップホルダーを設置して快適性を高めています。またラゲッジスペースにはマルチウェイのスペースリッドを設け、ユーティリティ性能も向上させています。

ミニバンでも運転する楽しさをスポイルしたくない人に最適の車種

ストリームは優れたユーティリティ性に加え、スポーティな走行気分を味わえる機能も持ち合わせていました。走行性能を安定させる低重心化、コーナーでもしなやかな踏ん張りを感じさせるダブルウィッシュボーンのサスペンション、CVTにはステアリングにパドルシフトがつき、マニュアルのトランスミッション感覚で運転することもできました。

ミニバンのユーティリティ性能は必要だけれど運転する楽しさをスポイルしたくない、というユーザーは少数ですが、そのニッチなニーズのために作られたのがストリームです。ミニバンの全高にどうしても馴染めない、という嗜好性を持つ人に最適の車種といえるでしょう。

筆者の主観的所見

ストリームはすでに新車販売を終了しているので購入は必然的に中古車となります。2代目は販売台数が好調だったことから中古車市場には比較的車数が多く流通しており、状態の良い車種を選ぶことができます。

2代目の後期型となる1.8RSZグレードで2013年登録モデル、走行距離1〜2万kmと比較的短い状態でも140〜160万円、2.0Lエンジンを搭載したモデルでも同走行距離で160〜170万円が中心価格帯となっており、相対的に安値で推移しています。

2010年前後に登録された前期モデルになるとさらに価格は安くなり、走行距離2〜3万kmといった状態の良い1.8ZSグレードでも100〜110万円の範囲内で購入することができます。この条件を同じホンダの5ナンバーサイズミニバン、ステップワゴンに当てはめると相場が170〜190万円となります。車内空間の違いはあるものの、ユーティリティ性では大きな違いがなく、操縦性ではストリームの方が優ることを考えるとお買い得の1台といえるでしょう。

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