〜開発の背景にフィットの存在〜

トヨタ・アクア〜世界最高レベルの燃費効率を持つ

アクアはトヨタが販売しているコンパクト2BOXハッチバックのハイブリッド専用車です。2016年2月には国内販売台数累計100万台を達成しており、発売から4年3ヶ月という短い期間での記録はトヨタ史上最速なります。世界最高レベルの低燃費が特徴で、2013年のマイナーチェンジではハイブリッドシステムを進化させ、JC08モードを37.0km/Lまで伸ばしました。

メーカー車両情報・トヨタ アクア

実は、アクア開発の背景にフィットの存在があった!

ハイブリッド車の元祖、トヨタのプリウスは初代こそ4ドアセダンタイプの小型車(5ナンバー)サイズを保っていましたが、2003年に登場した2代目からは空力性能を上げたモノフォルムのデザインとなり、ボディサイズも普通車(3ナンバー)サイズになりました。以後、プリウスはボディサイズを拡大していく一方で、5ナンバーサイズのハイブリッド専用車がラインナップから消滅してしまうため、トヨタは2011年にアクアを発表しました。

アクア開発の背景にはホンダ・フィットの躍進があります。2007年に発売された2代目フィットはセンタータンクレイアウトを採用したことによってコンパクトカーでありながら広い車内空間を確保、発売と同時に爆発的な売れ行きを見せ、それまで国内販売台数のトップを維持していたプリウスを抜き、2008年度の登録車販売台数で第1位を獲得しています。

さらに2010年のマイナーチェンジではハイブリッド仕様を追加したことから、トヨタはコンパクト・ハイブリッド市場に対して危機感を覚え、対抗馬となるアクアを投入しました。発売当初のJC08モードはフィットの30.0km/ Lに対して35.4km/Lを記録しています。

アクアとフィットの主なスペックを比較

アクアが発表された12月、トヨタは受注台数を1.2万台と見込んでいたところ、実際はその10倍となる12万台が受注されました。登録車販売台数トップの座をフィットから奪還しましたが、フィットは2013年にフルモデルチェンジを行い、アクアを追従しています。ここでは両車の主なスペックを比較します。

アクア(G)フィットHYBRID・L
全長×全幅×全高(mm)3995×1695×14553955×1695×1525
客室内寸法2015×1395×11751935×1450×1280
車両重量1080kg1080kg
JC08モード37.0km/L36.4km/L
最高出力54kW(74PS)/4800rpm81kW(110PS)/6000rpm
最大トルク111N・m(11.3kg・m)3600〜4400rpm134N・m(13.7kg・m)/5000rpm
車両本体価格2,007,818円1,959,000円

スペック面だけを見ると、両車ほぼ互角の内容といえるでしょう。エンジン性能はフィットの方最高出力、最大トルクともに上回っていますが、燃費効率を重視したアトキンソンサイクルを採用しているので、ある程度の高い回転域にならないと効果を発揮しません。

一方、アクアはモーターとエンジンのパワーを走行状況に応じて配分するトルクスプリット型のシリーズパラレル方式ハイブリッドなので随時、エンジンとモーターのパワーを引き出すことができます。ハイブリッド方式による違いはありますが、走行性能面でも互角といえます。

パッシブセーフティが充実しているアクア

予防安全面ではアクアがリードしています。Gグレードにはトヨタ最新のパッシブセーフティシステムToyota Safety Sense Cが標準装備されており、単眼カメラとレーザーレーダーによって前方車や障害物だけでなく道路の白線や対向車のヘッドライトなども検知できるシステムになっています。

対してフィットはアクティブセーフティのサイドエアバッグシステムとシティブレーキアクティブシステムをセットにした「あんしんパッケージ」をFグレードに標準装備していますが、シティブレーキアクティブシステムはレーザーレーダーで前方車と障害物だけを検知します。予防安全装置まで考慮するならアクアを選んだ方が無難です。

万人向きのユーティリティ性が最大の魅力

アクアの車内装備はGグレードでも質素なので、トヨタと言えどもラグジュアリーな部分はまったく期待できませんが、ガソリンタンクと小型バッテリーを後部席下にレイアウトしているので後部席の足元やラゲージルームに余裕があり、快適性とユーティリティ性が確保されています。

ハッチバックドアを開けた時の開口部は横が946mm、奥行きが722mmあるので4人乗車時でも旅行用スーツケースを2〜3個、後部席の背もたれを倒せば9.5インチゴルフバッグを3個積むことができます。オールラウンドな使い道ができて、しかも経済性に優れているアクアは万人向きの車種といえるでしょう。

筆者の主観的所見

経済性と実用性だけを考えれば現在でも優れたパッケージを持つアクアですが、2011年に登場して以来、細かなマイナーチェンジは行なっているものの、フルモデルチェンジは1度も行なっていません。最近のトヨタは6年サイクルでフルモデルチェンジを行なっていることから、早くも2017年に新型アクアが発売されるという予想が出始めています。

2015年に発売された5代目プリウスのJC08モードは40.8km/Lなので、こnユニットを搭載すれば軽量のアクアなら45.0km/Lまで到達するのではないか、と噂されており、燃費効率はさらに高まることは間違いありません。

したがって購入を2017年まで伸ばせる状況であれば、現在、アクアを購入するのは得策と言えないでしょう。新型モデルの発売が近くなれば現行車は値引き幅が大きくなりますし、新型モデルが出ればさらに経済的な車種を購入することができます。発売の3ヶ月前ぐらいになるとマスコミが新車情報を流し始めるので、雑誌やインターネットなどで情報をチェックしましょう。

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