〜ミニバン市場の中で最先端技術〜

日産セレナ〜ミニバン初の機能を満載した新型に注目

日産のセレナは5ナンバーサイズのミニバンです。2005年に登場した3代目がミニバンとは思えない運転のしやすさや車内の広さから大人気となり、2007年以降は3年連続でミニバンの販売台数NO.1を獲得しました。現行車は5代目で2016年にフルモデルチェンジを実施、激戦区の5ナンバーサイズミニバン市場の中で最先端技術を搭載して発売されました。

メーカー車両情報・日産 セレナ

幅広いグレード体系でコンパクトカーのニーズを取り込む

セレナの歴史は古く、初代は1991年に登場しています。現在のミニバンと同じくショートボンネットのデザインを採用しましたが、エンジンを前席下にレイアウトするキャブオーバー型でFR用のプラットフォームを使っていたことから前席が狭くなり、1999年のフルモデルチェンジではライバル車のミニバンと同じくFF方式に変更されました。

セレナが大きく注目されたのは3代目からです。ホイールベースを2860mmとクラス最大の長さに設計、車内空間を広げて子供のいる家族にとって便利なシートアレンジを開発したことで、ミニバンの販売台数NO.1を獲得しました。

その後、ステップワゴンに首位の座を奪われますが、4代目になると返り咲き、さらに今度はトヨタ勢が追い上げてノアが首位に立ちます。5ナンバーミニバンは、ライバル車のモデルチェンジが行われる度に首位の座が変わるほどの激戦区となっています。

ノアと主なスペックを比較

5代目となった現行車セレナの特徴は数多くあり、そのひとつが全グレードともハイブリッド仕様になったことです。スマートシンプルハイブリッド(S-HYBRID)と呼ばれるシステムはトヨタやホンダと違い、モーターで回生エネルギーを蓄電すると同時にエンジンをアシストするタイプで、モーターだけの走行はできません。その分、システムを小型軽量化できるので車内空間を広く取ることができます。ここでは5ナンバーミニバンで首位の販売成績を残しているノアのハイブリッド車と主なスペックの比較を行います。

セレナ(Xグレード)ノア(Gグレード)
全長×全幅×全高(mm)4690×1695×18654695×1695×1825
客室内寸法3240×1545×14002930×1540×1400
車両重量1650kg1620kg
JC08モード17.2km/L23.8km/L
最高出力110kW(150PS)/6000rpm73kW(99PS)/5200rpm
最大トルク200N・m(20.4kg・m)/4400rpm142N・m(14.5kg・m)/4000rpm
車両本体価格2,489,400円2,725,527円

スペックを見ると両車のハイブリッドの違いがはっきりとします。エンジン本体の性能はセレナが優位ですが、モーターは走行に対してアシストだけなので最高出力は極端に低く、トルクだけが強力になっていますが、ノアはエンジンとモーターの出力を走行状況に応じて分配、またはモーターだけの走行も可能なことからコンパクトカー並の最大出力を備えています。

このハイブリッドシステムの違いは燃費効率に出ており、カタログ値ではノアの方がリッター当たり5kmも上回っています。ただし車両本体価格では20万円以上の差がついているので、燃費の違いを車両本体価格で埋めると考えた場合、コストパフォーマンスでは両車とも互角といえるでしょう。

ウォークスルーを可能にする2列目中央シート

インテリアの装備面では、これまでのセレナのメリットを引き継ぐと同時に新機能が追加されています。セレナ独自のシートアレンジ、スマートマルチセンターシートは2列目中央のシートが前席中央に移動してセンターコンソールとなるため、ウォークスルーが可能になる他、空いたスペースに座席を横スライドさせることができるので後部スライドドアからの乗降がスムーズになります。

また後部スライドドアはミニバンで初めてハンズフリーオートスライドドアが採用されました。これは両手に荷物を持っていたり子供を抱いたりして両手がふさがっている状態でもつま先をドアの下に入れ、足を引くだけでドアが自動的に開くシステムです。ドアを開くためにはインテリジェントキーを持っていなければならないので、下をくぐる動物やキーを持たない人が足を入れても開かないように安全性が保たれています。

バックドアの新機能は上部だけを開閉できるデュアルモード

スペック表からも分かるように、セレナは客室内寸法がライバル車よりも長く設計されています。荷室の広さは5ナンバーサイズ最大となっており、さらに3列目シートを左右に跳ね上げて2列目中央を前席に移動させればサーフボードを積載することも可能になります。

また新機能としてバックドアにはデュアルモードが設定されました。これは小さな荷物を積む時、あるいは後部にスペースがない時などにバックドアの上部だけを開閉できる便利な機能です。

家族連れで運転する女性でも安心な視認性

その他の改良としては小さな点ですが、キャップレス給油口が採用されています。これはボディの給油口フタを開けるとゴムキャップのついた給油口が表れ、ノズルをそのまま差し込めば給油できる機能です。ガソリンスタンドでセルフ給油を行う人にとっては、わずかですが手間を省くことができます。乗る人のカーライフを想定した親切機能といえるでしょう。

歴代セレナの利点であった運転のしやすさも改良されており、Aピラーを細くしてセンターメーターを低くしたことによって視認性がさらに向上しました。子供を乗せる機会が多い女性には最適の1台となることは間違いありません。

筆者の主観的所見

今回のフルモデルチェンジで最大のハイライトとなったのが同一車線自動運転技術のプロパイロット機能です。高速道路での単調な渋滞走行と長時間の巡航走行において、アクセルとブレーキ、ステアリングを自動制御するシステムで、ドライバーの負担を大幅に軽減します。

ただし、プロパイロットが標準装備されているのは上級グレードのハイウェイスターとハイウェイスターGのプロパイロットエディションだけで、SやX、GといったグレードはセーフティパックBをメーカーオプションで装着しなければなりません。ちなみにハイウェイスタープロパイロットエディションの車両本体価格は約291万円と、Xグレードよりも50万円近く高くなります。

セーフティパックBにはアラウンドビューモニターや車線逸脱防止支援システム、さらに進入禁止標識検知システムなど搭載されているカメラをフルに使った機能が盛り込まれているので大変便利ですが、オプション装着するとライバル車よりも価格が高くなることを想定しておいた方が良いでしょう。

ページの先頭へ