査定のプロが教える「中古車買取の裏事情」
中古車買取を担当する「査定士兼営業担当者(以下・査定担当者)」の営業評価は、仕入れ金額が「安い・高い」という結果では、ほとんど成績には反映されません。
買い取った車の利益は、査定時点では不確定要素が多分に含まれていて、利益を確定することができないからです。
中古車買取の場合、高値で仕入れてもオークションなどで、稀に予想を上回る金額で落札されることもありますが、安く仕入れたつもりでも思うほど入札がなく競りが途中で止まり、競りを流す(売らない)こともあります。
場合によっては、その後も買い手がつかず売れ残ってしまうことが予想されれば、「*売り切り」として、仕入れ当初の予定利益が取れなくても売ることがあります。(*売り切り=あらかじめ決めた下限額を超えたら売り切ると言うオークションの約束ごと)
こうした販売の予想まで、査定担当者に責任を負わせては、仕入れに支障が出るようになります。従って、買取を担当する営業は、台数で評価されることになり買い取った台数が営業としての勝負になってきます。
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買取価格を決めるのは査定担当者ではない
訪問してくる査定担当者には、その場で回答できる査定金額に制限があります。
査定書のチェックポイントを記載し、車検証の内容を転記(記録)した直後に、会社にLINE・メール等のスマホアプリを使って査定車の画像や情報を送ります。そして、10分ほど経って会社から担当者に金額が伝えられます。
電話の先には、ショップの責任者や、オークションや小売りなどを担当する買取り価格の上限を決定できる責任者がいます。
査定価格を決めるには「いくらで売ることができるか?」できるだけ正確にはかり、予想できる立場の人の意見を聞いて回答します。責任者自身が予想して値付けすることもあります。
買取店は「車を集める人」「車を売る人」それぞれの立場で仕事をしています。もちろん、両方を兼務している担当者もいます。また、どちらにも携わらずに、仕入れ価格だけを算出する担当者もいます。査定額は仕入れ金額であり、中古車オークションの市場価格に連動します。
しかし、オークションは1か所のみで行われるわけではありません。そのため、同じ車であっても日や会場によって、値の付き方が違ってきます。売却専門の販売担当者がオークション会場の動向や中古車市場の状況を把握できるようになっています。
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実は査定担当者は売り手の味方になりやすい
1台でも多く買い取りたいが1台ごとの利益計算は、査定担当者の管轄ではありません。多少高くても数多く商談をまとめて買い取った人が評価されます。少し乱暴ですが、査定担当者からすると「査定が多少高くても早く結論が出る方が良い」がホンネです。結論とは「売ってくれるかor売ってくれないのか」です。
また、買取は査定担当者の個人ではなく会社であり、買取金額の最終決定は責任者にあります。つまり、査定さえ間違わなければ契約を取ったもの勝ちの世界なので、担当者が契約を急がせるのです。
買取額の「安い・高い」が、査定担当者の成績に繋がるわけではありませんからね!
買取店と査定担当者は別けて考えるべきです
「査定担当者は安く買い叩こうとする」と考えるのは、明らかに売り手の誤解です。査定担当者は高い査定金額でも契約をまとめたいと思っています。
査定担当者は、高取りしても基本的に大きな責任を負いません。逆に味方と考えて価格アップに努めてもらうようにしましょう。しかし、お願いしても査定額は上がりません。それなりに責任者に価格アップを促すための材料提示が必要になります。
そこで必要になるのが、新車購入見積もりの下取り査定や、他社で提示された買取価格です。金額を伏せて交渉するより開示して交渉する方が査定額は上がります。金額を隠せば査定担当者が本気で会社に交渉できないので、あまり良い値段を期待できません。
査定営業担当者が最も熱くなるのは直接交渉の時
査定担当者は、1件ごとの商談に時間をかけるのを好みません。なぜなら、買取の査定営業は、多くの場合1回限りのお付き合いほとんどで、新車営業のように、これから何年もお付き合いを続けることはないからです。
個人相手の買取はその場限りです。担当者は「その場で勝負したい」と思っていることを忘れないようにしましょう。
売却時期をウヤムヤにして、下限額も見せない相手に本気で買取額は提示しません。「出した金額が他社の価格アップの材料に使われるだけ」と分かっているからです。また、同様に会社への価格アップ交渉にも力が入りません。
査定営業担当者の心が最も熱くなるのは、訪問査定の直接交渉の時です。特に他社の査定額や目標の査定額が出てくると、心が燃えるようです。査定担当者は「買取りの売買契約を結ぶ」ことが仕事です。売り手に相場以下のひどい値段を提示するつもりはありません。
査定の価格差が開くのは、査定担当者の能力ではなく会社の情報力と力の差です。できる限り査定担当者が一発勝負にかける査定額を出したくなるよう、売り手は持っている情報をうまく使って効果的に査定額を引き出しましょう。
査定営業担当者のホンネは?
査定担当者のホンネは「高くてもできるだけ早く契約を取りたい」と思っています。ダラダラと結論を先延ばしする相手は、買い付けできないのでお客様として見なくなります。査定担当者の気持ちが冷めたら、交渉の余地が無くなることを覚えておきましょう。
また、横柄な態度は査定担当者もナーバスになります。売り手として最低限のマナーにも気をつけましょう。
「来てくれてありがとう、良い値段をつけてくださいね」の気持ちを初めに伝えると、後の対話が良くなり、スムーズで好印象な査定なります。交渉時には、査定担当者を味方につけることが大切です。
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