〜国産車のトップクラス〜

スバル・インプレッサ〜1/1000秒単位で操縦性を追求した5代目

スバルの中核モデル、インプレッサは2016年9月にフルモデルチェンジを行い、5代目となりました。新世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM」によって開発されており、操舵応答性と安定性を飛躍的に向上させたことが大きな特徴です。5代目インプレッサはその操縦性が高く評価され、4代目レガシィ以来となる13年ぶり2回目の2016-2017年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

メーカー車両情報・SUBARU インプレッサ

クルマの根幹部分となるプラットフォーム

自動車のプラットフォームとはフレームやモノコックのフロアパンやサスペンションなど車体の基本的な骨格となる部分です。ニューモデル開発の際、すべてがプラットフォームから設計されるわけではなく、既存のプラットフォームを使って新型ボディや新型エンジンを搭載するケースもあります。しかしプラットフォームが古くなるとボディやエンジンを新しくしても関連部品をプラットフォームに合わせなくてはならないため古い部品を使うことになり、スペックの向上は見られても操縦性能まで飛躍的に向上させることはできません。

これらの事情から各メーカーはプラットフォームを新しくしてニューモデルの性能を飛躍的に向上させると同時に、多彩な車種へ応用できる設計にしてコストダウンを図っています。多数の車種へ応用できるプラットフォームはフォルクワーゲンが初めて採用、国内ではマツダがSKYACTIV技術で投入し、トヨタは「TNGA」を開発しました。スバルの「SUBARU GLOBAL PLATFORM」は両社に次ぐ新世代プラットフォームとなり、今後のスバル・ニューモデルに順次採用される予定となっています。

水平対向エンジンとシンメトリカルを最大限に活かすプラットフォーム

スバル独自の水平対向エンジンはピストンが水平に動くため、エンジンを低重心に設計できることがひとつのメリットでしたが、「SUBARU GLOBAL PLATFORM」はこのエンジンをさらに低重心に設置すると同時にサスペンションの取付部を始めとして各部の剛性を高めており、全体的にはこれまでのプラットフォームの約1.7〜2倍という剛性を実現しています。

高い剛性と低重心化、さらにスバルの伝統的なシンメトリカル重量バランスを活かしたプラットフォームはステアリング操作に対して瞬時にクルマが正確な反応を示すようになり、ドライバーの運転疲労を軽減すると共にクルマを操縦することの楽しさを与えてくれます。カタログ数値にはけっして表れない機能ですが、クルマの基本性能を格段に進歩させるプラットフォームといえるでしょう。

マツダ・アクセラスポーツと主なスペックを比較

5代目インプレッサは歴代モデルと同じようにハッチバックタイプのSPORTとセダンタイプのG4が設定されています。ここでは同じく2タイプを設定しているマツダのアクセラから、どちらもハッチバックタイプの主なスペックを比較します。

インプレッサ2.0i-S EyeSightアクセラ22XD PROACTIVE
全長×全幅×全高(mm)4460×1775×14804470×1795×1470
客室内寸法2085×1520×12001845×1505×1170
ホイールベース2670mm2700mm
車両重量1320kg1440kg
JC08モード17.0km/L19.6km/L
最高出力113kW(154PS)/6000rpm129kW(175PS)/4500rpm
最高出力113kW(154PS)/6000rpm129kW(175PS)/4500rpm
最大トルク196N・m(20.0kg・m)/4000rpm420N・m(42.8kg・m)/2000rpm
車両本体価格2,376,000円2,781,000円

アクセラに搭載されているエンジンはSKYACTIV技術によるクリーンディーゼル2.2Lです。低回転域で発生する最大トルクは自然吸気エンジンの4.0Lに相当する驚異的なパワーでディーゼル特有の力強さを発揮、エンジン性能では圧倒的にアクセラが優位に立っています。また燃料が軽油であることに加え、JC08モードでもインプレッサに差をつけているので維持費の面でもアクセラが有利です。

ただしアクセラはボディデザインを重視した設計であるため、車内空間の狭さは否めません。またマツダにはiACTIVSENSEという優れた予防安全装置がありますが、その機能の大部分がオプション設定であることに対して、インプレッサは業界最高水準の予防安全装置EyeSightを標準装備していながら低価格を実現しています。ユーティリティ性や安全性を考えるのであればインプレッサが有利となるでしょう。

新型プラットフォームは技術屋集団スバルの真骨頂

インプレッサに搭載されている予防安全装置のEyeSightは進化を続けており、Ver.3になりました。従来のステレオカメラにカラー認識機能を加えたことにより、前方走行車のブレーキランプを認識できる他、障害物をより立体的に検知できるので動作機能の確実性が向上しています。また国内で初めて歩行者保護エアバッグを採用しました。

スバルの予防安全装置はEyeSightに注目されがちですが、インプレッサに関してはむしろ「SUBARU GLOBAL PLATFORM」が安全性を高めているといえるでしょう。新型プラットフォームの根幹にはクルマとの一体感による「走りの気持ち良さ」があります。ステアリング操作からクルマが動き出すまでの時間が短ければ一体感が強まりますが、逆に長いと不快感が強まり、これが蓄積されると運転者は疲労が高まってクルマが不安定な挙動になります。スバルは1/1000秒単位で一体感を解析し、そのデータを新型プラットフォームにフィードバックしました。表面的には目立たない機能ですが、このプラットフォームこそ技術屋集団と呼ばれるスバルの真骨頂でしょう。

熱狂的なスバリストだけでなく万人受けする車種

スバルはこれまで、スバリストと呼ばれる世界中の熱狂的なファンによって支えられてきたメーカーです。しかしトヨタの傘下企業となってからはラインナップの整理もあって業績が向上しており、純利益率はトヨタを抜いて国内第1位を獲得するほど優良企業となっています。

この業績には車種開発も大きく関与しており、以前のようにメカニズム中心ではなく、スタイリングや快適性を重視した車種が増えてきました。インプレッサの2BOXハッチバックタイプはSPORTとネーミングされていますが、とくにスポーツ走行に向いているというわけではなく、むしろ利便性の高いオールラウンダーです。実用性と軽快な走行感覚を楽しみたい人には最適な車種といえるでしょう。

筆者の主観的所見

5代目インプレッサはクルマの完成度として、現在の国産車ではトップクラスと言っても過言ではなく、非のつけどころがないほど万人受けする「優等生」な車種に仕上がっています。現在のモータリゼーションを考えればその潮流の先端に位置するからこそ、クルマ評論家だけでなくユーザーからも高い支持を得ているのでしょう。

これはインプレッサだけではなく日本のメーカーすべてに言えることですが、あまりに「優等生」過ぎて、不必要ではあるけれど際立ったエッジがどこにも見られません。かつて、初代インプレッサ(GC8型)にはホットモデルのWRXがありました。現在、WRXは独立した車種になり、走行性能は突出していますがエクステリアも「それなりに」派手で、スポーティカーとしてはこれも「優等生」といえます。

一見、「普通」のボディに高い走行性能を潜ませたWRXは世界ラリー選手権でもマニュファクチュアラーズタイトルを獲得しており、インプレッサWRXが魅力的な車種であることをアピールしました。「優等生」な車種はメーカーとして業績向上に必要であることは承知の上で言うならば、「優等生」だけでなくGC8型のような「魅力的」なインプレッサが欲しいところです。

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