〜中古車が狙い目〜
日産デイズ〜スタイリングを優先した軽トールワゴン
日産のデイズは軽自動車規格のトールワゴンです。三菱自動車と共同出資で設立された合弁会社NMKVが開発した車種で、三菱からはeKワゴンの名称で販売されています。2016年4月、三菱自動車の燃費不正改ざん問題により一時販売を中止していましたが、2016年7月よりデータを修正して販売を再開しています。
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三菱との合弁会社NMKVによる開発車
日産は2016年10月に三菱自動車の株式を34%保有したことから単独筆頭株主となり、三菱自動車はルノー・日産アライアンスの傘下企業となりました。合弁会社NMKVは依然として存続していますが目立った活動は見られず、現在まで開発した車種はデイズ(三菱ではeKワゴン)と軽スーパーハイトワゴンのデイズ・ルークス(同:eKスペース)の2車種に留まっています。
NMKVはNissan Mitsubishi Kei Vehicleの略称で、Keiからも分かるように軽自動車開発を最大の目的として設立され、日産と三菱は当初、NMKV開発車による軽自動車市場のシェア20%確保を目標に掲げました。かなり高めの目標設定でしたが、実際、2013年6月にデイズが発売されると一気に人気が高まり、販売開始からわずか1ヶ月で月販目標台数の3.75倍となる約3万台を受注しました。
この人気の背景には、NMKVがスズキやダイハツの利便性を重視した軽トールワゴンと真っ向から対決する姿勢を見せず、普通自動車メーカーとしての特徴を活かして従来の軽自動車にはないエレガントなデザインを取り入れたことが大きく影響しています。また燃費効率が良いということもセールスポイントのひとつでしたが、燃費不正改ざん問題が発生したことによって、それまで上位常連だった軽自動車販売台数部門では下位に低迷しています。
ダイハツのムーヴと主なスペックを比較
全国軽自動車協会連合会の発表による2016年4月〜9月の車種別新車販売台数で、トールワゴンではダイハツのムーヴが約4万台でトップ(全体では6位)、デイズはホンダのN-WGNやスズキのワゴンRからも後塵を拝し、4位(全体では11位)に甘んじています。ここではムーヴと主なスペックを比較します。
デイズ S | ムーヴ L | |
全長×全幅×全高(mm) | 3395×1475×1620 | 3395×1475×1630 |
客室内寸法 | 2085×1295×1280 | 2080×1320×1280 |
車両重量 | 840kg | 820kg |
最高出力 | 36kW(49PS)/6500rpm | 38kW(52PS)/6800rpm |
最大トルク | 56N・m(5.7kg・m)/3900rpm | 60N・m(6.1kg・m)/5200rpm |
ホイールベース | 2430mm | 2455mm |
JC08モード | 25.8km/L | 31.0km/L |
ムーヴの現行車は2014年にフルモデルチェンジが行われたこともあって、車内空間ではデイズと大きな差はないものの、走行性能や燃費性能においてはデイズより優位に立っています。JC08モード値に対して実測値は約2割減というのが半ば常識となっていますが、カタログ値ですでに1L当たり約5kmの開きがあると実走行でも燃費の違いを体感できてしまいます。
ダウンサイジング派が満足できるデザイン性
しかし、デイズは元々カタログスペックで表される性能の高さをセールスポイントにしていた車種ではありません。エクステリアはフロントからリアエンドまで一体化に近いワンモーションのデザインで、サイドには深く削ったようなキャラクターラインをレイアウト、インテリアでもインパネ回りに普通自動車並の質感を与え、シートも厚みを与えてそれまでの 利便性重視・コスト軽減志向の軽自動車と一線を画しました。
高年齢層には普通車から軽自動車へダウンサイジングを図りたいユーザーもいるのですが、デザインに見られる利便性重視・コスト軽減志向が弊害となっていたのも事実です。デイズはダウンサイジング派が満足できるデザインだったことが、発売と同時に高い人気を得た要因のひとつとなっています。
全車に標準装備された予防安全装置
安全面では2015年10月のマイナーチェンジで軽自動車クラス初となるハイビームアシストがグレード別設定されました。これは前方検知用のカメラが先行車や対向車のライト、道路周辺の明るさを検知してクライ状況ではハイビーム、明るい状況になると自動的にロービームへ切り替えるシステムです。ライトを手動で切り替えなくても夜間における歩行者や自転車などの早期発見に貢献します。
その他、赤外線レーダーで前方を検知して衝突の危険性がある時は緊急ブレーキを作動させるエマージェンシーブレーキ、シフトレバーの操作ミスによる衝突を回避・軽減させる踏み間違い衝突防止アシストが全グレードに標準装備されています。
単独または2人乗車の機会が多いカーライフの人に最適の車種
軽トールワゴンはオールラウンドのユーティリティ性を持っていることから、軽スーパーハイトワゴン登場後もファミリー層に根強い人気があります。しかしデイズはオールランダーでありながらもデザイン性を優先させました。
前述したように普通自動車と大きな違和感を持たない車内装備はダウンサイジングを図る人に最適なだけでなく単独、または2人乗車の機会が多いカーライフを送る人には最適の軽自動車となります。ボディカラーは全14色、アゼリアンピンクやシルキーローズなどもあるので女性にも似合う車種といえるでしょう。
筆者の主観的所見
新車登録台数の推移は中古車市場にも反映されます。比較的高値で安定している軽自動車の中古車市場ですが、デイズはその中で販売価格がやや下降しているため、状態の良い車種を購入するいいチャンスと言えるでしょう。
新車販売価格が約131.8万円のXグレードが登録済み未使用車では約100〜110万円と20万円以上の下落幅を見せ、2013年登録モデルで走行距離2万km前後のXグレードでは80〜90万円が相場となっています。外観上は現行車と変わらぬことも中古車で購入するメリットのひとつです。