〜魂動-Soul of Motion〜
マツダCX-3〜存在感のあるボディフォルムを持つコンパクトSUV
マツダのCX-3はコンパクトサイズのクロスオーバーSUVです。マツダの統一デザイン「魂動-Soul of Motion」を採用して洗練されたエクステリアの中にベルトラインから下の塊感を強調してがSUVのイメージを作り出しています。全グレードにクリーンディーゼルを搭載、FFと4WDが用意されています。
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マツダ初となるSKYACTIV全面採用のCX-5
ボディサイズが大きくスタイリッシュで、車内装備が豪華なフルサイズのクロスオーバーSUVは一時期、爆発的な人気を呼びましたが、北米や欧州ならともかく、日本国内では不経済な上に取り回しが悪い操縦性はオンロード走行が中心のユーザーにけっして好評とはいえませんでした。
SUVの存在感は欲しいけれど悪路を走る機会がほとんどなく、都市部を快適に走りたいというユーザーに向けて開発されたのがコンパクトサイズのクロスオーバーSUVです。CX-3はデミオと同じエンジンユニットを搭載することから共通のプラットフォームを採用、全長は4275mmで全幅が1765mmの扱いやすいボディサイズに収まっています。また全高を都市部の立体駐車場でも入庫できる1550mmに抑えていることもオンロード走行が主体のユーザーに向けた設計のひとつといえるでしょう。
ただし、単なるデミオのSUVというわけではなく、SUVらしい改良点を細部まで加えていることが最近のマツダらしいところです。SUVとしての剛性を高めるために前部を中心として超高張力鋼板を多用、とくにエンジン周辺部分には厚板を使って剛性を確保しています。リアは車高を上げたことでデミオのサスペンションが合わないことから独自設計を行い、アクセラ用のダンパーを取り付けました。SUVでありながらもオンロード志向のコンセプトであることをはっきりと強調する俊敏な走行性能を持つ車種に仕上がっています。
ホンダ・ヴェゼルと主なスペックを比較
国内におけるコンパクトタイプのクロスオーバーSUV市場はミニバンに次ぐ激戦区となっており、3年連続SUV部門での新車販売台数第1位のヴェゼルを追う形で、CX-3を含むライバル車が各メーカーから販売されています。ここではCX-3のヴェゼルと主なスペックを比較します。
CX-3 XD PROACTIVE | ヴェゼルHYBRID Z | |
全長×全幅×全高(mm) | 4275×1765×1550 | 4295×1770×1605 |
客室内寸法 | 1810×1435×1210 | 1930×1485×1265 |
ホイールベース | 2570mm | 2610mm |
車両重量 | 1270kg | 1320kg |
最低地上高 | 160mm | 185mm |
JC08モード | 25.0km/L(6MT) | 23.4km/L |
最高出力 | 77kW(105PS)/4000rpm | 97kW(132PS)/6600rpm |
最大トルク | 270N・m(27.5kg・m)/1600~2500rpm | 156N・m(15.9kg・m)/4600rpm |
車両本体価格 | 2,592,000円 | 2,670,000円 |
最大トルクではCX-3が優位となっていますが、ヴェゼルはハイブリッド仕様なので上記のエンジンパワーに0回転から最大トルクを発揮するモーターパワーの160N・m(16.3kg・m)が加わるため、実質的にはヴェゼルの方が優勢といえるでしょう。
客室内の広さや最低地上高でもヴェゼルが上回っており、新車販売価格が若干安いだけではCX-3がヴェゼルを追い越すことができません。マツダはこの差を埋めるべく、2015年12月と2016年10月にマイナーチェンジを行い、新たな技術投入を行っています。
マイナーチェンジで搭載された2つの新技術
新技術の1つはピストンヘッドのピストンピン内に装着するナチュラル・サウンド・スムーザーです。ディーゼルエンジンは排気ガスをクリーンにしてもアイドリング時や加速時にはどうしてもノック音が発生します。マツダのSKYACTIV-Dは欧州のクリーンディーゼルエンジンに比べると静粛性が高いのですが、マツダはノック音が出る原因を追求し、ノック音を周波数でコントロールする新技術を開発しました。ナチュラル・サウンド・スムーザーは不快と感じるノック音を大幅に抑制、軽快で上質なエンジンサウンドに変えています。
もう1つの新技術が4輪のトルク配分を電子制御してコーナリング性能を高め、車体の安定性を向上させたG-ベクタリングコントロールです。コーナリング走行中は遠心力が働くのでコーナーの外側に負荷がかかり、内輪の接地力が弱くなります。
G-ベクタリングコントロールはコーナリングの走行状況に応じて内輪のトルクを増大させて接地力を高め、コーナー進入時から脱出にかけて車体を安定させたまま走行させる機能です。ドライバーはステアリングの修正が軽減されて描いた通りのコーナーラインを走行できるため、安全性が高まると同時にクルマとの一体感を覚え、走る楽しさを実感できるでしょう。
クロスオーバーSUVに操縦性や経済性を求めるのであれば最適な車種
CX-3はコンパクトサイズなので車内空間の広さやユーティリティ性は期待できません。したがって家族4人が乗って荷物も積載するカーライフの人には向いている車種とはいえません。子供がいない夫婦、または独身で都市部の運転やオンロード主体の長距離走行が多い人には条件的に向いている車種ですが、一時期でもフルサイズのクロスオーバーSUVを購入、あるいは希望していた人に最適といえます。
フルサイズに近い存在感を持っていることに加え、コンパクトサイズならではの取り回しの良さや経済性など、実用面でも強いパフォーマンスを発揮するでしょう。
筆者の主観的所見
CX-3の現行モデルは2015年の発売なので、すでに中古車市場には豊富な車数が出回っています。新技術のナチュラル・サウンド・スムーザーやG-ベクタリングコントロールが装備されていない車種でも良ければ中古車で購入した方が経済的といえるでしょう。最近のマツダはモデルの改良を重ね、ロングスパンで販売する傾向にあることからCX-3もフルモデルチェンジは先のことになるので、中古車で購入しても当分の間は型落ちになる心配がありません。
2015年登録モデルであれば新車販売価格からの値下がり幅が大きくなり、走行距離1万km以内でも190〜200万円の範囲内で購入が可能となります。CX-3を新車購入するのであればライバル車との価格やスペックを必ず比較しましょう。とくにトヨタが2016年末に発売したコンパクトタイプのC-HRは新車販売価格が約251.6万円からと魅力的な設定になっています。