〜レクサスのフラッグシップモデル〜
レクサスLS〜おもてなしの心を満載した日本の最高級セダン
トヨタの世界戦略高級ブランド、レクサスのフラッグシップモデルとなるのがLSです。全長5mを超すフルサイズセダンで、欧州ではメルセデス・ベンツのSクラスやBMWの7シリーズと同じくFセグメント(全長5mを超えるフラッグシップクラス)に属します。高級ドイツ車の模倣ではなく、日本的な「おもてなしの心」を随所に配置した快適性が大きな特徴となっています。
海外で初めて通用した日本の高級車
LSの初代モデルである国外販売専用車のセルシオが登場した1989年当時、すでに日本車は海外で高い人気となっていましたが、それは大衆車としての人気であり、フルサイズの高級セダンに関しては市場に食い込むほどのクオリティはないと評価されていました。とくに高級セダンではドイツ御三家(当時は西ドイツ)と呼ばれるメルセデス・ベンツやBMW,アウディの人気が高く、また実際に走行性能面でも匹敵する日本車は存在していませんでした。
その状況を初めてブレイクスルーしたのがセルシオです。高級セダンの持つ安全性と走行性に加え、静粛性や乗り心地、高品質といった乗員が感覚として捉える部分を具体的に実現させました。これらを日本的「もてなしの心」とセールス、発売と同時に北米で大きな実績を残し、レクサスの土台を築きました。
現行車4代目は2006年の発売ですが、2013年にフルモデルチェンジ並のメジャーチェンジが行われており、型式こそ変わっていませんが主要構成部品の約半数を変更するなど、ほとんど新型モデルと言っても遜色がないほどの改良が施されています。とくにフロントマスクにはレクサスのアイコンとなるスピンドルグリルが採用され、ドイツ車高級セダンの個性に負けない迫力を打ち出しています。
メルセデス・ベンツSクラスと主なスペックを比較
セルシオの登場とその人気の高さにより、高級セダンを販売する各メーカーも意識を変え、高級セダンに相応しい快適性を装備するようになってきました。ここではLSのライバルとなるメルセデス・ベンツのSクラスと主なスペックを比較します。両車ともにV型8気筒DOHC4.6Lエンジンを搭載しています。
LS460(versionL) | S550ロング | |
全長×全幅×全高(mm) | 5090×1875×1465 | 5250×1900×1495 |
客室内寸法 | 2175×1600×1185 | 2040×1480×1240 |
車両重量 | 2050kg | 2180kg |
JC08モード | 9.3km/L | 10.6km/L |
最高出力 | 288kW(392PS)/6400rpm | 335kW(455PS)/5250〜5500rpm |
最大トルク | 500N・m(51.0kg・m)/4100rpm | 700N・m(71.3kg・m)/1800〜3500rpm |
車両本体価格 | 10,605,000円 | 16,380,000円 |
エンジン性能ではS550が上回っていますが、これは同じ排気量でもターボチャージャーを装着していることに因るものです。LS460も十分なパワーを持っており、車重も100kg異常軽いので実際の走行では大差ないといえるでしょう。客室内寸法ではLS460が若干広い他はほぼ互角のスペックとなっています。
両車ともにフラッグシップとなる車種だけに安全性から走行性、快適性にいたるまで両メーカーの最先端技術が投入されています。高い安全性で定評のあるメルセデス・ベンツは世界初となるシステム、マジックボディコントロールをSシリーズに搭載しました。これはフロントガラス上部に設置されたマルチパーパスカメラで路面を詳細にスキャンして凹凸を検知、運転状況をセンサーが確認して油圧ダンパーを調整し、凹凸の振動を車内に伝えず快適性と静粛性を保つシステムです。
快適性の標準装備を充実されているLS
その他にも革新的な機能を備えたSシリーズですが、残念なのはマジックボディコントロールも含めて快適性のホットストーン式マッサージやフットレスト式エグゼクティブリアシートなどはマイバッハやAMGといった2千万円超の最上級車にしか標準装備されておらず、S550ではほとんどがオプション装着となることです。
一方のLSは「おもてなしの心」をセールスポイントに置いているだけあって快適性の標準装備は充実しており、バンブーと本皮を使ったステアリングは寒い冬でも手を温めるヒーターが付き、助手席や後部席は電動式のヘッドレストやランバーサポートで体型を問わず快適な座り心地が約束されます。235/50R18のタイヤにノイズリダクションアルミホイールが装着されているのもLSらしい配慮といえるでしょう。
高い社会的地位を表すLSのステイタス
その他、安全性や快適性の装備に関しては枚挙に暇がありません。これらの装備がすべてカーライフに必要であるかという点はともかく、装備されていることが現在の車の最先端である証と同時に、所有者のステイタスになります。高い社会的地位を周囲にアピールしたい人、あるいは成功の象徴を形として所有したい人には選択肢のひとつとして相応しい車種といえるでしょう。
筆者の主観的所見
LSをステイタスとして購入するのではなく、純粋にラグジュアリーな車内空間を楽しみたい、というのであれば中古車から状態の良い車種を探すのも手に入れる方法のひとつです。高級セダンは新車時こそステイタス価格が含まれるので高価ですが、中古車市場に出回るようになるとステイタス効果が薄くなり、また需要も少ないので販売価格の下落幅が大きくなります。
メジャーチェンジ後のスピンドルグリルを持つ後期モデルはすでに多くの車数が出回っており、2014年登録モデルで走行距離2〜3万kmといった状態の良い車種は650〜850万円が中古車販売価格の相場となっています。
スピンドルグリルを持たない前期型になると販売価格は一気に下がり、2011年式で走行距離3〜4万lmの車種であれば300〜400万円の予算で十分に状態の良い車種を購入することができます。中古車市場で販売されているLSの多くは本皮シートやオーディオセットがオプション装着されているので、中古車であってもゴージャスな気分に浸れるはずです。