〜レクサスらしいクロスオーバーSUV〜
レクサスRX〜オフロードに行くよりも都市圏で乗る方が楽しい
RXはトヨタの高級ブランド、レクサスから販売されているミドルサイズのクロスオーバーSUVです。フロントマスクはロアグリルまでを一体化させたアイコンのスピンドルグリルを採用、アルミホイールは20インチを装着して迫力あるエクステリアを演出しています。
その一方で、インテリアは高級セダンを思わせる上質な素材とシックなデザインでまとめ、いかにもレクサスらしいクロスオーバーSUVに仕上がっています。
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ハリアーから始まったラグジュアリーSUVのレクサスRX
初代のハリアーは1998年に発売されましたが、これはトヨタ・ブランドで販売しているハリアーをそのままレクサス・ブランドに変えただけの車種です。当時、レクサスはラインナップが少なかったことからトヨタ・ブランドの高級車をレクサスに移行することが多く、高級セダンのアリストはGSとして、スポーティセダンのアルテッツァはISとして販売されていました。
3代目まではハリアーと共通のコンポーネントを使い、インテリアやエクステリアをレクサスに合わせる仕様でしたが、2015年のフルモデルチェンジによって4代目となった現行車からは完全にレクサスのオリジナルとなりました。
重厚感を与えるスピンドルグリル
エクステリアではフロントに設けられたレクサスのアイコン、スピンドルグリルが一際目立ちます。ヘッドライトのラインに合わせて切り返し位置を高めに設計したことにより、下部が大口径になってSUVらしい重厚感を演出しています。またボディサイドには切り込みの深いキャラクターラインを入れ、躍動感のあるフォルムとなっています。
搭載されているエンジンは先にコンパクトSUVのNXに搭載されたターボチャージャー装着の直列4気筒2.0L、ハイパワーのV型6気筒3.5L、さらにV6をアトキンソンサイクルに変更させてフロントとリアののモーターを組み合わせたハイブリッド仕様があります。
RXとハリアーの主なスペックを比較
RXの3代目まで共通のコンポーネントを使用していたハリアーは2013年7月に一時、販売を終了しますが、その4ヶ月後には国内専用車として新型モデルを登場させました。ここでは2.0Lエンジンを搭載したNXとハリアーの主なスペックを比較します。
NX 200t(version L) | ハリアー(PREMIUM) | |
全長×全幅×全高(mm) | 4890×1895×1740 | 4720×1835×1690 |
客室内寸法 | 2230×1590×1200 | 1965×1480×1220 |
車両重量 | 1930kg | 1610kg |
JC08モード | 11.8km/L | 14.8km/L |
最高出力 | 175kW(238PS)/4800~5800rpm | 111kW(151PS)/6100rpm |
最大トルク | 350N・m(35.7kg・m)/1650~4000rpm | 193N・m(19.7kg・m)/3800rpm |
車両本体価格 | 5,950,000円 | 3,891,927円 |
両車、ともに直列4気筒エンジン2.0Lを搭載していますが、これだけのパワー差がつくのはインタークーラー付きターボチャージャーだけでなく搭載エンジンの型式も影響もしています。NXに搭載されている8AR-FTS型はミドルサイズからラージサイズのために開発された新型エンジンで、ターボ専用のガソリン直噴機能が備わっています。
一方、ハリアーに搭載されている3ZR-FAE型は2006年から使用されているミドルクラス用のエンジンであるため、出力を抑える調整が施されています。
車内空間はハリアーも十分にラグジュアリー仕様になっています。インパネからダッシュボード、さらにドアトリムまでを同色のソフトパッドで覆い、センタークラスターやステアリングの一部に木目調パネルを使うなど日本人好みの豪華さを装備しています。
一方のNXはレクサスの統一インテリアを採用しており、シックな雰囲気は日本車というよりも高級ドイツ車を思わせるグローバルなイメージにまとめられています。どちらも高いクオリティを持っているので選ぶのは好み次第と言えます。
ミリ波レーダーを使った予防安全装置
ただしNXとハリアーの価格差は目に見えない部分につぎ込まれています。ボディ剛性を強化するために超高張力鋼板を多用、さらに構造用接着剤や緩衝材を使って車内の静粛性を高めており、SUVでありながら高級セダンの乗り心地を実現しています。またバックドアはレクサスのロゴマークに手をかざすだけで開けることができるタッチレスパワードアになり、重い荷物を持ったままでもドアに触れることなくラゲッジルームへ積むことができます。
NXに搭載されている予防安全装置Toyota Safety System+は他のトヨタ車に搭載されている同タイプの装置がレーザーレーダーを使うことに対して、ミリ波レーダーを採用しています。
レーザーレーダーの測定範囲は約20mと短いのですが、ミリ波レーダーは約100〜200mの測定距離があるので、高速で移動している際でも障害物や前方車両との衝突を回避・軽減できる可能性が高まります。ミリ波レーダーはレーザーレーダーに比べて高額であるため、現在は一部の高級車にしか採用されていません。
高級セダンにはない圧倒的な存在感
ミドルサイズのクロスオーバーSUVはボディサイズの割に多人数が乗れるわけでもなく、また荷物が積めるわけでもありません。
またボディ骨格がモノコックなので本格的なオフロード走行には向いていません。とくにRXはスピンドルグリルが大きいので角度が急な悪路ではフロントの下回りを擦ってしまう可能性があります。したがってRXに向いているのは高級セダンの大人しさが物足りず、都市圏でも存在感をアピールしたいタイプの人といえます。
20インチという巨大な直径のホイールと最低地上高200mmによる運転席のアイポイントはフルサイズのミニバンに近い高さとなり、高級セダンでは味わえない存在感を得ることができます。オフロードに行くよりも都市圏で乗る方が楽しいクロスオーバーSUVといえるでしょう。
筆者の主観的所見
メーカーの車種はどの系列ディーラーで購入しても品質は同じですが、ディーラーの接客態度まで同じではなく、これは高級輸入車を扱う正規代理店でも同じことです。接客スタッフの応対の悪さから、そのメーカーの車種まで嫌いになってしまうケースはよくあるとことですがレクサスに限っては例外で、どのディーラーに行っても車種同様、ラグジュアリーな応対が待っています。
店舗スタッフはすべて徹底した応対マニュアルの教育を受けており、ショールームは高級ホテルのラウンジ並で、購入すると納車日にはセレモニーを受けることができます。顧客が用意ができるまで名前の記入された個室で待機、準備ができると花束贈呈、またはノンアルコールのスパークリングワインで歓待を受け、購入車両の前で記念撮影を行なった後、スタッフが深々とお辞儀をして購入車が出庫するというスケジュールです。
もちろん顧客サービスは購入した時だけでなく、購入後も各種パーティのお誘いなどがあり、50年代後半のバブル経済を思い起こさせるサービスが充実しています。RXに限らず、どのレクサス車を購入しても顧客サービスを受けることができるので、セレブ気分を味わいたい人にはお勧めです。ただし、これらのサービスは車両本体価格に含まれているので、値引き交渉には一切、応じないことを覚えておいてください。