搭乗者傷害保険(加入率25.1%)の解説
搭乗者傷害保険は、契約をしている車の運転中に事故に遭い運転者(ドライバー)や同乗者が死亡したり傷害や後遺障害を負った場合に、実際にかかる金額ではなく、あらかじめ定められた死亡保険金額、入・通院保険金額などが、過失に関係なく補償金として定額で支払われる保険です。
そのため、収入の多い人であれば死亡保険金額が少なかったり、傷害の程度が大きく治療費がたくさんかかると、その費用が全額補償されないデメリットがあります。
搭乗者傷害保険の加入率はやや高い
搭乗者傷害保険は、加入率25.1%(2021年度)と、そこそこ人気のある保険です。単独(自損)事故や追突のような100%過失が自分にあっても過失割合に関係なく補償を受けることができます。
また、他の保険の補償金と重複しても支払われる高いメリットがあります。しかも、自動車事故だけでなく、ドアに手を挟んでケガをした場合にも適用されるメリットがあります。
さらに、搭乗者傷害保険は、補償金の請求をしても等級は下がらないので、翌年の保険料が上がらないというメリットや、定額で支払われるので傷害が完治していなくても補償金が支払われる利点があります。
搭乗者傷害保険で補償を受けられない例
- 定員オーバーや荷台に乗車していて事故を起こした場合
- 無免許・酒気帯び・麻薬等使用しての運転で起こした事故
- 故意、または重大な過失によって生じた事故
- 台風・洪水・高潮は除く地震・噴火・津波などによって生じた損害
ねえ、対人傷害保険に加入していたら、搭乗者傷害保険は加入する必要はないの?
搭乗者傷害保険の保険料は安いから、その保険料が負担じゃなければ2つともに加入してもいいかもね。
保険料に見合う補償金が2重で貰えるよ。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険の違い
搭乗者傷害保険と少し似ている人身傷害保険との違いは、以下の通りです。
人身傷害保険 | 搭乗者傷害保険 | |
補償される人 | 被保険自動車の搭乗者全員 | 被保険自動車の搭乗者全員 |
補償される事故範囲 | 被保険自動車に搭乗中 被保険自動車以外に搭乗中 歩行中など車に搭乗中以外の交通事故 | 被保険自動車に搭乗中 |
補償金の支払い | 実損払い | 定額払い |
2つとも、自分自身や家族が死亡、傷害を負った時に補償を受けられる保険としては共通しているので、どちらを選べば良いかという疑問があるかと思います。
以下のように考えても良いでしょう。
- 搭乗者傷害保険は、安心のために必ず入っておきたい保険
- 人身傷害保険は、もっと補償範囲・金額を大きくして、より大きな安心を得たい保険
搭乗者傷害保険の部位別症状払いとは
搭乗者傷害保険では、傷害に対する補償金額は主に部位症状別支払いで行われます。
部位症状別支払とは、「頭部・顔面部・頸部・胸部・腹部・背部・腰部」のように体の部位別に「打撲・捻挫・挫傷または擦過傷」「骨折または脱臼」「神経の損傷または断裂」のような症状別に補償額が支払われます(保険会社によって部位や症状の分類・名称が異なりますが、補償額はほぼ同じです)。
*以前は、「部位症状別払い」と「日数払い」を選択できましたが、多くの保険会社が「日数払い」を廃止しており、選択できなくなっています。日数払いの場合は、入・通院した日数に対して支払われます。
例
追突されて「むち打ち」になると、医学的に「むち打ち」は「頚椎捻挫」なので、頸椎が含まれる「頸部」と言う部位での「打撲・捻挫・挫傷または擦過傷」という症状になり、そこで決められた補償額が完治までの通院期間が5日間でも、100日間でも関係なく支払われます。*頸椎捻挫では一般的には5万円が支払われます。
また、部位症状別の補償額が支払われるのは、一般的には5日間以上入院または通院をして治療を行った場合などの条件が付きます。また、複数の部位で症状が出る傷害では、それぞれの補償額で最も高い金額だけが支払われます。入・通院日数が4日以下の場合は、一般的に1回の通院で一律1万円の支払いがされます。
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