ガソリン価格推移(1966年~2023年)と世界情勢の動向


ガソリン価格の推移のグラフ(1966年〜2023年)

グラフ・総務省統計局「東京都区部の「自動車ガソリン」「灯油」の長期時系列:昭和41年(1966年)~最新月」より筆者作成


1966年4〜8月時点では1リットル50円だったガソリン価格は、2度のオイルショックを迎え1982年には177円まで高騰します。

その後、逆オイルショックになりガソリン価格は下がりますが、サブプライムローン問題の影響で、2008年に再び高騰した直後にリーマンショックになり急落しています。その後、再度上昇しますが、米国が原油輸出を解禁したことが原因で2016年3月には109円まで落ち込んでいます。

消費者視点でいえば、1995〜2005年が比較的安価で安定していたことがわかります。

ガソリン価格が上がった要因

第一次石油危機(オイルショック)

1973年10月に開戦したイスラエルとアラブ諸国との第4次中東戦争(十月戦争)を機に、石油輸出国機構(OPEC)の加盟6カ国が石油価格を4倍まで引き上げました。日本国内では石油・同関連品の需給等による便乗値上げが相次ぎ、異常な物価高騰になったため「狂乱物価」とも呼ばれるインフレーションが起こりました。

第二次石油危機(オイルショック)

1978年12月のイラン革命を機に再び石油価格が約2倍に上昇した第2次石油危機です。イランの石油生産が中断し、イランから大量の原油を輸入していた日本にも影響しました。

イラク・クウェート侵攻〜湾岸戦争

1990年8月イラクがクウェートに侵攻。その反動で一時的に石油価格は高騰しました。

サブプライムローン問題

米国のサブプライムローン(=低所得者向けの住宅ローン)は、証券化され世界各国の投資家へ販売されましたが、不動産価格の下落をきっかけに金融機関の経営破たんを引き起こしました。

金融市場にいた投資家が実態のない金融商品から撤退し現物への投機にシフトしたため、資金が原油市場にも流れ込み原油価格が上がる要因になりました。


ガソリン価格が下がった要因

逆オイルショック

2度にわたる石油危機をうけて中東に頼っていた原油輸入国は、輸入先の分散を狙い世界各地で油田開発を進めたために供給量が大幅に拡大しました。さらに、先進国では代替エネルギー源の開発や産業構造の転換、省エネルギーや脱石油政策などが、世界的な石油需要の低下につながりました。

リーマンショックの影響

リーマンショックの金融危機をきっかけに、原油先物市場からの投資マネーの引き揚げが原油価格ダウンの原因になりました。2009年1月にはガソリン価格が106円まで下がったものの、その後再度上昇基調に戻りました。


アメリカ原油輸出を解禁

アメリカは、第一次石油危機から原油輸出を原則禁止していましたが、2008年頃から活発化したシェールオイル増産の影響による米国内における石油のだぶつきを解消するために原油輸出を解禁しました。このことが原因で国際的な原油安になりました。

コロナショック

コロナショックによる原油価格の下落に加えて、日本国内の緊急事態宣言や、海外で相次ぐロックダウンによる外出禁止措置や防疫措置による多国間の移動制限にともない、世界的に消費が減少したことも影響されたと考えられています。

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