ABS・TCS・ESC〜アンチロック・ブレーキシステムの働きと効果


ABSは、Anti-lock Brake Systemの略称です。車は、急ブレーキをかけるとタイヤがロック(タイヤが回転しない状態)されて、ロック状態になるとハンドル操作で車の制御ができなくなり非常に危険になります。

また、同様に雪道や雨に濡れた道路でもブレーキを踏むことで簡単にタイヤがロックしますが、ABSはタイヤがロック状態にならないようにする働きがあります。

タイヤがロック状態になるとハンドルでの制御が不能になるのは、タイヤが回転している状態でないと方向を変えられないからです。

ABSの動作

ABS(アンチロック・ブレーキシステム)

ABSは、ドライバーが強く急ブレーキを踏んでも、ABS装置が自動的にブレーキを短い時間間隔で断続的に緩めるため、タイヤがロックせず回転します。そのため、ハンドル操作による車の制御が可能になります。

タイヤメーカーが測定したデータによると、雨に濡れた路面で、時速70キロで走行中にABSが働くと、ABS機能があると停止までに5秒弱かかりますが、ABS装置がないと停止までの5秒強かかっているデータを公表しています。

つまり、この結果によると、車の制御が可能なだけでなく、停止までの時間(制動距離)も短くすることができて2重に危険を回避できることになります。しかし、砂利道などの非舗装道路や凍結した道路など条件によってはこの通りにならず制動距離が逆に伸びることがあります。

そして、ABSは制動距離を短くすることが目的ではなく、車を制御することを補助することが目的です。結果的に制動距離が短くなることもある位に認識しておくべきです。また、摩擦係数が低いアイスバーンのような道路ではABSでも、車の制御は難しいのでラジアルタイヤ等の備えが必要になります。

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ABS作動時運転の注意点

ABSが動作するほどの急ブレーキをかけると、ブレーキペダルにブルブルとした振動を踏み込んでいる間中感じます。緊急事態で車を止めることに必死になっているので、この振動に驚いてブレーキペダルを緩めることは無いと思われますが、一応、そのような振動を感じることは知っておいた方が良いでしょう。このためにブレーキを緩めることがあっては大変です。

ABSの進化した技術

EBD(Electronic Brake force Distribution(電子制御ブレーキシステム)

車の状態(搭乗者数や積載荷物荷重など)や道路状態を4輪についたセンサーで感知し、ブレーキ操作時にABSに加えて、ブレーキをさらに的確に車輪に伝えてブレーキ操作時の車をより最適に制御して安定性を高める機能のことです。タイヤのロック状態の制御だけでなく、搭乗者数や積載荷物が多い場合にそれに応じたブレーキキングを自動で行ってくれるのでブレーキ動作を効果的にする効果があります。

TCS(Traction Control System)

abs-急ブレーキ

ASR(Anti-Slip Regulation)とも呼ばれます。車の発進や加速時に起きやすいタイヤの空転を防止する機能のことです。自動車メーカーによっていろいろな呼称を使っていますが機能はほぼ同じです。

車は停止状態から発進する時や急加速を行うとタイヤに強い駆動力がかかります。この時、道路の路面の摩擦係数が小さいとタイヤが空転することが起こります。タイヤの空転はエネルギー消費のムダだけでなく、場合によっては車の制御が効かずスリップして危険な運転になり、最悪は事故につながるなど安全面に問題を生じさせます。

TCS機能があると、車両速度とタイヤの回転速度の差異から空転を感知し、空転をドライバーのアクセル操作に関係なく解消させます。ただし、TCS機能は、前後進の走行安定には貢献しますが、横滑りなどの横方向の不安定さには効果がありません。

ぬかるんだ道などではそこからの脱出のために空転覚悟でアクセルを吹かせて脱出に成功することがあります。TCS機能があるとこの脱出方法ができなくなるため、機能をオフにするスイッチが付けられています。

ESC(Electronic Stability Control:横滑り防止装置)

車の旋回時などや路面の急激な変化、ドライバーの急激なハンドル操作などで起きる車の横滑りを含む不安定な走行状態になることを極力防止する機能のことです。

車を旋回させるときに急激なハンドル操作や路面状態によって、前輪または後輪が横滑りして車の走行状態が不安定になることがあります。センサーによって、横滑りを感知するとブレーキやエンジン出力などを制御し車輪を適切にコントロールすることで横滑りを防止し車の走行状態を安定させることができます。

ESC搭載によって、ヨーロッパでは車の単独事故の発生率が約3割減ったことが報告されており、日本では、独立行政法人 自動車事故対策機構が約44%減ったと報告しています。しかし、日本での装備率は欧米に比べると大幅に悪く14%程度と言われています。

そこで、ESCをようやく国土交通省は2012年10月以降に新型車として発売される乗用車およびフルモデルチェンジ車種に搭載を義務づけました。また、既存車種も2014年10月以降には装備に追加されます。ただし、軽自動車は新型車が2014年10月以降、それ以外は2018年2月以降に義務化されます。トラック・トレーラー・バスは、2013年8月に一部の車種に装備の義務化を発表し、新型車は2014年11月発売以降のモデルから、継続生産車種は2017年2月以降から義務化されます。

ABS、TCS、ESCをまとめると、車にとって必要な制御機能を「走る」「曲がる」「止まる」とした場合、

  • 「走る」はTCS
  • 「曲がる」はESC
  • 「止まる」はABS

ということになります。

国土交通省・ブレーキアシストの標準装備化を決定

ブレーキアシストは、国土交通省が2012年10月以降に新型車として発売される乗用車およびフルモデルチェンジ車種に搭載を義務づけました。また、既存車種も2014年10月以降には装備に追加されています。軽自動車は新型車が2014年10月以降から、それ以外は2018年2月以降に義務化されています。

トラック・トレーラー・バスは、2013年8月に一部の車種に装備の義務化を発表し、新型車は2014年11月発売以降のモデルから、継続生産車種は2017年2月以降から義務化されます。ESC(横滑り防止装置)機能と同じタイミングでの搭載義務化です。

ブレーキアシストの働きとその効果

ブレーキアシストとは、ブレーキを踏み込む力を油圧で補助し、急激な停止のための急ブレーキ操作ができないドライバーを補助する機能のことです。高齢者や女性は物理的にブレーキを踏みこむ力が不足して、急ブレーキによる停止ができないことがあります。また、心理的に急ブレーキが必要な状況でもできないドライバーもいる可能性があります。

この機能により、緊急時にブレーキを強く踏めない人でも、強く踏める人並みのブレーキ力を得ることができます。ブレーキアシストは、ABS機能と組み合わせて使われます。この機能を使わないで急ブレーキをかけることができる人にとっては、停止までの制動距離が短くなるなどメリットはブレーキアシストにはありません。

ブレーキアシストは、急ブレーキまでは必要の無い場合にも、急にブレーキを踏みこむことで意図しない急ブレーキとなってしまう危険性が残ります。

ブレーキアシストの進化した技術としては、今、注目を集めている「衝突被害回避・軽減自動ブレーキシステム」です。前方の障害物を検知して、自動でブレーキをかけてくれます。しかし、このシステムも人間に対しては完全に止まることができないなどの問題もまだ、残っているのでブレーキアシスト機能が不要になるわけではありません。

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