スピード違反が原因で起こる交通事故は意外に少ない
危険でもない道路で車の流れに乗って運転していて、スピード違反でつかまった経験がある人もいるでしょう。警察はスピード違反が悲惨な事故につながるという理由で、それほど危険でもない道路なのにスピード違反の取り締まりをしていることがあります。
しかし、事故原因のなかでスピード違反が占める割合は思ったほど高くないことをご存じですか。それを知ると持参な事故を防ぐという目的よりも、単にスピード違反を違反という目的だけで検挙していることが腹立たしく思えてきます。少し前のデータにはなりますが、事故原因のランキングについて紹介します。
交通違反取締り検挙数〜「スピード違反」がダントツの1位
交通違反の2014年度の検挙数ランキングは警察庁のデータによるとトップ10は以下の通りです。(参考・平成27年警察白書 統計資料)
順位 | 交通違反の種類 | 発生件数 | 構成比 |
1位 | スピード違反 | 1,835,930件 | 26.1% |
2位 | 一時停止違反 | 1,231,190件 | 17.5% |
3位 | 携帯電話使用等違反 | 1,096,222件 | 15.6% |
4位 | 通行禁止違反 | 760,135件 | 10.8% |
5位 | 信号無視 | 712,333件 | 10.1% |
6位 | 駐停車違反 | 284,147件 | 4.0% |
7位 | 追い越し・通行区分違反 | 255,572件 | 3.7% |
8位 | 踏切不停止 | 97,145件 | 1.4% |
9位 | 免許不携帯 | 70,593件 | 1.0% |
10位 | 整備不良車両運転 | 36,731件 | 0.5% |
これによると、スピード違反の検挙数が全体の3割で2位以下を大きく引き離したダントツの1位です。
ほぼすべてのドライバーが制限速度を完全に守った運転をしていないことを考えると、警察が取り締まりを行えば行うほどこの数字は大きくなります。
スピード違反取り締りの内、約半数の53.1%が「定置式(光電式)による速度取り締り」という警察名称のいわゆるネズミ取りです。
ほとんど事故が起こる可能性の少ない道路で違反検挙のための目的だけで行われているネズミ取りを腹立たしく思っている人も多いに違いありません。
検挙された道路だけの事故を防ぐのではなく、スピード違反を他の道路で行っても「捕まるから」という抑止目的があるという考えもできます。
ドライバーにどの程度の抑止効果を与えているかは疑問ですが、警察はそう主張するかもしれません。その場合、スピード違反による事故件数が多いなら、警察がそういう主張をしてもある程度納得ができます。事故原因のランキングを見てみたいと思います。
交通違反別の死亡事故発生件数ランキング
交通違反別の2014年度の死亡事故件数ランキングは警察庁のデータによると以下の通りです。(参考・平成26年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況)
順位 | 交通違反の種類 | 発生件数 |
1位 | 安全運転義務違反 ・運転操作不適 ・漫然運転 ・脇見運転 ・安全不確認 ・その他 | 2,279件 459件 661件 519件 378件 262件 |
2位 | 歩行者妨害等 | 253件 |
3位 | スピード違反 | 212件 |
4位 | 一時不停止等 | 159件 |
5位 | 通行区分違反 | 153件 |
6位 | 信号無視 | 150件 |
7位 | 歩行者 | 147件 |
8位 | 優先通行妨害 | 99件 |
9位 | 酒酔い運転 | 36件 |
10位 | 追越違反 | 21件 |
その他の違反・不明 | 504件 | |
合計 4,013件 |
これによると、運転操作不適や漫然運転、脇見運転などの安全運転義務違反が圧倒的に多くダントツの1位です。スピード違反による死亡事故という重大事故は、わずか全体の約5%です。スピードが出ていれば、死亡事故につながりやすい死亡事故でこの比率です。
死亡事故に至らない人身事故や物損事故などの事故全体から見れば、スピード違反が交通事故に占める割合はもっと低くなると考えられます。
このように考えると、スピード違反を取り締まるのは何のためかという疑問が湧いてきます。スピード違反は確かに危険な行為で、これを取り締まるのは合理的と思われます。しかし、現実はそうではないことがデータが示しめしています。死亡事故を減らすには、取り締まりが難しいですが別の方策が、ずっと重要であるといえます。
例えば、スピード違反ではなく、ほぼ同数の死亡事故件数の歩行者妨害取り締りは、ほとんど見たことがないだけにもっとも力を入れて行っても良いのではと思われます。また、携帯電話使用等違反は、違反検挙数の3位ですが、漫然運転、脇見運転、安全不確認につながるだけにもっと徹底して行うべきと考えられます。(阪木朱玲)
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