接触しなくても相手を驚かせてケガをさせたら交通事故

自宅車庫から車に乗って発進する時、周囲の道路事情がよくわかっているだけに、あまり注意しないで発進することはありませんか?

事例

川島洋子(仮名・32歳)は午前8時30分頃、娘を幼稚園へ送って行くため軽自動車の後部座席へ乗せて出発しようとしていた。自宅前の道路は幅4mで車庫から見て右から左へやや急な坂道になっている。ガレージの両横はコンクリート壁が視界を遮っていた。

ATをDに入れて発進したところ、いつもならアクセルを踏まずクリープ状態(アクセルペダルを踏むことなく、エンジンがアイドリングの状態で車両が動く現象のこと)でそろそろ出るのだが、急いでいたため思いのほかアクセルを踏み込み過ぎて道路へ車体が半分位飛び出してしまったのである。

川島から見て右側から通りかかったのが、ママ友としてつきあっていた高石あかね(仮名・30歳)が乗った自転車だった。高石の自転車は坂道でスピードが出ており、しかも後部座席に川島の娘と同じ幼稚園へ通う娘が乗っていた。高石は突然飛び出した川島の車に驚いて急ブレーキをかけたところバランスを失って転倒し、乗っていた親子は路上へ投げ出された。

川島の車と衝突はしなかったが、高石は右手首の骨にヒビが入り頸椎及び腰椎を捻挫し、約2か月の通院とリハビリとなった。高石の娘は幸いにも打撲程度のケガで済んだのだが、ママ友としての良好な関係にもヒビが入ったことは言うまでもない。

自動車側が100%悪いという厳しい過失割合

過失割合は基本判例では川島90:高石10だが、川島が路外から著しく加速して飛び出したとして+10が加えられ、川島が100%過失をかぶることになった。もちろん高石と娘の医療費は川島が加入している自賠責保険が適用されるが、壊れた自転車や事故で破れた衣服等の物損費用は、川島の任意保険を使って全額支払われた。

路外から公道へ出るときは必ず左右確認してゆっくり発進

川島さんの立場からは「高石が川島の車に驚いて転倒しただけで、接触していないのだから交通事故ではない」と言えるかも知れませんが、警察は「車両が路外から公道へ出る場合は、通行している人や車両がびっくりするような出方をしてはいけない」と川島さんの過失を認定しました。

つまり、車両同士の衝突・接触がなくても、車を運転中に相手を驚かせてケガをさせた場合も、すべて交通事故になると覚えておきましょう。

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