道路上に寝ている人をひいた事故
交通事故の過失割合には、納得できないものがたくさんあるのではないでしょうか? 例えば、信号のある交差点で、歩行者が赤信号無視で横断歩道を横断中に、青信号で進行している車との事故の過失割合もその1つです。この場合、原則として青信号の車に30%の過失があることになります。
でも、法律を守っていない歩行者をここまで保護する必要があるのか疑問です。歩行者は弱者だから、車がより厳しく安全運転をしなければならないことは当然です。しかし、法律を守って運転している車に対して、3割も落ち度があるというのは、一般常識では信じられません。
このような一般常識と違う交通事故事例を知っておくことは万が一のときに役立つでしょう。
昼間 道路上に寝ている人を車でひいた事故の過失は車が70%
道路上に寝ることなど一般常識では危険な行為なので、許されるものではありません。そのため寝ている歩行者との事故では、歩行者に過失割合が多いと考えるのが一般常識かと思われます。ただし、つまずいて倒れてすぐに起き上がれなかったなど、歩行者にやむを得ない事情があれば、その直後であれば自動車にも相当の過失を認めても良いとは考えられます。
しかし、原則的な過失割合は、昼間であれば車に70%の過失があることになっています。歩行者がもし幼児や高齢者、身体障害者であれば10%から20%過失割合がプラスされます。幼児は見て分かるかもしれませんが、高齢者か身体障害者かは恐らく判断できないでしょう。結果だけで過失がプラスされるのは、納得ができないのではないでしょうか?
より交通弱者だとして保護しないといけないことは分かっても、それがドライバーに分からない限りは、意味がないと思われます。なお、ドライバーにわき見や速度違反などがあれば、過失がプラスされ、車が100%の責任を負う可能性もあります。
夜間 道路上に寝ている人を車でひいた事故は車の過失が50%
もし、歩行者が夜間に寝ていると場合の事故は、原則はともに50%、50%の過失となります。車の過失割合が昼間よりも軽減されるのは、車が見えにくい夜間は歩行者の責任も大きくなるからと思われます。もしそうなら、そもそも道路には寝ることは許されないので、歩行者に特別な理由がない限り歩行者の過失が大きいと考えても、一般常識では良いとしか思えません。しかし、夜間でも原則50%は車に過失が生じます。
安全運転が何よりも重要
一般常識とは異なっても、法律は歩行者などの弱者を守ることに重点が置かれています。そのため、人身事故ではドライバーにとっては不合理と思われる過失割合が認定されることになります。安全運転を心がけて、歩行者との人身事故を起こさないように気を付けることが重要です。
ただ、いくら安全運転を心がけても、避けられない事故があります。例えば、道路に寝ている歩行者の場合、制限速度で前方不注意がなければ避けられるかもしれません。しかし、見通しの悪いカーブや交差点のすぐ先で寝ている歩行者は、どんなに安全運転をしていても避けられない可能性があります。
十分な補償を受けられる自動車保険に加入しておくことは最低限必要なことです。加えて、過失割合では納得できないことも多いので弁護士費用特約も付けておくと、しぶしぶ過失割合を認めることなく自分の主張を十分訴求できる可能性があります。また、どんな事故にも原則的な過失割合に対して、過失のプラスマイナスが可能です。自分の過失を減らして、相手の過失を増やすには弁護士の力が必要です。