運転中の発作事故は年平均250件〜事故の防止策はあるか?
運転中に脳卒中や脳梗塞、心筋梗塞、てんかん、睡眠時無呼吸症候群、パニック障害などの健康障害を起こすと状況によっては極めて大きな事故につながります。運転中におきる突然の健康障害の防止、そして最悪でも交通事故を起こさないようにするには、何か対策があるのか、どのような点に注意すれば防止できるのかについて考えてみたいと思います。
運転中の発作事故は年間平均250件起きている
交通事故総合分析センターの統計によると2008年から2012年の5年間に運転中の急病や発作による事故は合計で1,248件(年平均250件)起きています。2001年から2006年の6年間では1,602件(年平均267件)起きているので、全交通事故件数が減少しているのに対して、やや減少傾向で推移しています。
しかし、高齢化が進むなか運転中の急病や発作による事故は増える可能性があり、今後高齢者やその家族は十分に注意する必要があります。また、居眠りやわき見運転による事故として処理されたなかに運転中の健康障害によるものあることが明らかになっています。多くの場合に医師によって事故の被害者の治療は必死に行われますが、事故原因が病気によるものかそれ以外の理由によるもかの追及は医学的に厳しく行われないためです。
日本法医学会の調査では、交通事故関連の死亡では、解剖して調べられるのは全体の約6%にすぎないと報告されています。そのため、事故の原因が本当は、病気だったとしても他の原因として処理されている可能性があります。
なお、運転中に良く起こる病気として、失神、不整脈、てんかん、低血糖などがあげられています。また、2時間以上、座ったままのいるとエコノミー症候群となって、足の血流が悪くなったり、血液の固まりができたりして危険な状態になるリスクも生じます。ちょっとした長時間ドライブで2時間運転することは多いので、危険を感じなくても水分補給や2時間以内に1度は休憩を取ることが大切です。
主な運転中の病気による事故事例
たくさんの運転中の健康障害で事故が起きています。以下にいくつかの事例をあげておきます。
2011年4月栃木県鹿沼市 | クレーン車が登校中の小学生に突っ込む。 死者6名(てんかんの疑い) |
2012年4月京都市祇園 | 軽自動車が暴走。 死者8人(てんかんの疑い) |
2012年4月関越道藤岡ジャンクション付近 | 高速バスが防音壁に衝突。死者7名。 過労による居眠り(睡眠時無呼吸症候群の疑い) |
2013年7月三重県亀山市 | 東名阪自動車道でバスの運転手が運転中死亡。 乗客がバスを止め事故には至らず(大動脈解離の疑い) |
2015年10月宮崎市宮崎駅前 | 軽自動車が暴走。死者2名(認知症の疑い) |
2016年2月大阪市梅田 | 乗用車が繁華街の交差点に赤信号で突っ込む。 死者2名(大動脈解離の疑い) |
運転中に起きる主な病気
国土交通省の事業用自動車の健康障害による事故報告によると、脳の病気が約24%、心臓の病気が約20%とこの2つで約半数を占めます。また、東京23区で健康障害による事故を分析した調査によると、心臓が約54%、脳が32%とこの2つが大半を占めています。
脳の病気としては、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などがあります。心臓の病気には、虚血性心疾患(冠動脈血栓症、急性心筋梗塞など)、心不全、弁膜症心筋症などがあり、その他には大動脈疾患や呼吸器、消化器の病気、てんかん、失神などがあります。
運転中に健康障害を起こさないためには
運転中に病気を予防するには、残念ながら万全で効果的な対策はありません。できるだけ運転中に発症するリスクを軽減することを怠らないようにすることしかありません。例えば、すでに病院で治療を受けていたりしている場合は、「薬を飲み忘れない」「薬の副作用に注意する」ことが重要となります。薬を服用するとき、ほとんどの人は副作用があることを気にしません。しかし、体調が悪かったりすると副作用が強く出る可能性があります。
また、何らかの不健康な兆候を健康診断で指摘された場合は、病気がこれ以上進行しないように運動、食事、睡眠、ストレス発散などを心がけることが大切です。そして、運転の前には、特に睡眠を十分に取り、疲れを蓄積させないようにすることなどが必要です。発熱、息切れ、めまい、胸痛・頭痛・胃痛、下痢、眠気、疲労、二日酔いなどはないか常にセルフチェックしましょう。そして、気になる場合は運転を止めるか、深夜運転、長距離の長時間運転など避けて、休憩を多めに取りながら運転をするように心がけるようにするとリスクを軽減できます。
そのほか、例えば高血圧だと指摘された場合、寒い日や深夜・早朝には血圧が上がる可能性があるので運転を控えるなど、病気別に注意しなければならないことを医師に聞いて対策することもリスク軽減に効果的です。
運転中に健康障害による事故を防止するには
運転中に健康障害による事故を防止するには、異変を感じたら直ちに車を止めてエンジンを切ることが重要です。脳卒中や心筋梗塞は突然に発症することもありますが、多くは顔や手足のしびれ、めまい、呼吸困難、吐き気、冷や汗などの前兆の症状がでることがあります。医師から注意を受けていることについて、どのような前兆があるかを知って、早めに無理をしないで休憩することが、大きな事故を防ぐにはもっとも効果的です。
なお、ドライバーが健康障害をあるのを知りながら、運転を止めないでいると事故が起きたときに、家族や会社が責任を追わなければならない可能性があります。実際に裁判所で億をこえる賠償金額が出た判例もあります。ドライバーが無理をして運転をしようとしたら、周囲が止めることも大切です。(阪木朱玲)
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