後部座席でもシートベルトをすべき3つの怖い理由
警察庁が全ての座席でシートベルトを着用しようと呼びかけています。道路交通法も運転者はもちろん助手席、後部座席を問わず同乗者はシートベルトをしなければならないと定めています。
運転席や助手席での高い着用率に比べて後部座席は、まだまだ低い着用率にとどまっています。その理由として、後部座席はシートベルトをしなくても運転席や助手席に比べて安全と思われていることが考えられます。後部座席でもシートベルトをしないと大変怖い3つの理由について説明します。
このページの目次
後部座席と運転席・助手席でのシートベルトの着用率
2015年11月に発表された警察庁・JAFの報告「シートベルト着用状況全国調査」によると、一般道での運転席のシートベルト着用率は98.4%、助手席は94.6%。高速道路での運転席のシートベルト着用率は99.4%、助手席は98.0%と高い数字を示しています。
■一般自動車道におけるシートベルト着用状況調査(調査箇所数779)
調査対象 | 着用 | 非着用 | 合計 | 着用率 |
運転者 | 299,447 | 4,939 | 304,386 | 98.4% |
助手席同乗者 | 49,963 | 2,837 | 52,800 | 94.6% |
後部座席同乗者 | 19,609 | 36,307 | 55,916 | 35.1% |
■高速自動車道におけるシートベルト着用状況調査(調査箇所数104)
調査対象 | 着用 | 非着用 | 合計 | 着用率 |
運転者 | 55,093 | 311 | 55,404 | 99.4% |
助手席同乗者 | 17,789 | 356 | 18,145 | 98.0% |
後部座席同乗者 | 9,659 | 3,879 | 13,538 | 71.3% |
しかし、後部座席の着用率は一般道で、35.1%、高速道路でも71.3%しかありません。少し前までは1割もなかったことを考えると、随分後席でもシートベルトの着用率はあがっていますが、運転席や助手席に比べるとまだ大きな差があります。この差が、事故によって着用と着用しないときでの大変な差になります。その理由について説明します。
理由1 後部座席は車外に放り出されて死亡する確率が高い
警察庁の報告によると2015年の交通事故による死亡者の内、後席でシートベルトを着用していない人の約3割が車外に放り出されて死亡しています。一方、運転席では同じくシートベルトをしていない人は12%、助手席では17%が放り出されて死亡しています。同じ非着用でも後部座席は、死亡事故になる危険性が高い車外に放り出される確率が、前席よりも2倍から3倍高くなっています。つまり常識とは反対で、車外に放り出されて死亡する確率は後席にいる方が高いので、後席のときの方がシートベルトをしっかり着用しなければならないことになります。
このことは、年度によって数値は多少異なりますが、傾向としては同じです。また、交通事故分析センターの2012年度の報告では、後席でシートベルト非着用での死亡者数は、シートベルト着用の場合に比べ約3.5倍多くなっています。
また、注意しなければならないのは、シートベルト非着用だと自動車保険による補償も減額される可能性があります。交通事故で死傷してもシートベルトを着用していないと、過失相殺されて十分な補償を受けられないことになることも十分認識しておかねばなりません。後席でのシートベルト非着用での過失による補償の減額は、タクシーなどへの乗車時にも関係してきます。タクシーの急ブレーキや交通事故でシートベルトをしていなくて、死傷した場合に補償額が減額される可能性があります。
理由2 後席にはエアバッグがなく強い衝撃を受け安全とはいえない
シートベルトをしていないと、例えば時速60kmで壁に激突する事故が起きると、ビルの約4階から5階に相当する高さ14mから落下したのと同じ衝撃を受けます。また、時速50kmで走行して壁に激突すると、体重が50kgだとすると自分の体の重さは1500kgと30倍になって車の天井、前のシート、横のドアに激突します。後席では、前に一見すると柔らかい前席のシートがクッションに役割を果たしてくれそうに思えます。しかし、座席は硬いフレーム部分があります。同じように車体も頑丈なフレームで衝突の衝撃から車内を守っています。
このフレーム部分に激突すると非常に危険で、後席だから安全とはまったく言えません。しかも、運転席や助手席であれば、まだエアバッグで衝撃が弱まりますが、後席ではその恩恵も少なくなります。そのため、死傷する可能性は後席だから小さいと必ずしもいえません。
理由3 後席でシートベルトを着用しないと運転席のドライバーの死亡重症率は2倍以上
トヨタ自動車は、後席でシートベルトを着用しないと運転席のドライバーの死亡重症率が2倍以上になるとホームページで警告しています。運転席や助手席の人がシートベルトをしていても、もし後席でシートベルトをしていないと、前席の人に強い衝撃で衝突し、前席の人を死傷させてしまう可能性があります。
下の動画(31秒)は、英国の「後部座席シートベルト着用キャンペーン」動画です。
衝撃的ですが、後部座席でシートベルトを着用しなかったために、前座席のドライバーが死亡する例です。
50kmで走行している場合に壁などに激突すると、後席で体重50kgの人がシートベルトをしていないと、1500kgの重さで前席にぶつかります。そのため、前席の人がシートベルトやエアバッグで、最悪の事態を逃れても、後席からの衝撃で死亡する可能性があります。
もちろん、後席の人も死傷する可能性がありますが、それだけにとどまらないことを十分に認識しておかねばなりません。家族以外の第三者に車に乗っているときは、補償関係もややこしくなる可能性があります。どのような場合も、シートベルトをしっかり着用するようにしなければなりません。(阪木朱玲)
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