ETCゲートでの急停止による追突事故はすべて10対0?

高速道路を利用する車のETC利用率は約90%に達しています。ETC普及に伴い、ゲート付近での事故も増加傾向です。ETCレーンでの事故の大半はゲートが開かないために急停止した車に後続車が追突する事故です。

通常、後方から追突されれば、追突車に過失が100%認められます。しかし、ETCレーンでの追突されても、後続車に100%の過失が認められないケースもあります。ETCレーンでの事故の状況、および追突された車にも過失が生じる理由について説明します。

ETCレーンでの追突事故の過失割合

ETCレーン

ETCレーンでの急停止は「禁止されている行為」なので、追突した方は100%の過失を課せられるのは厳しすぎると感じるかもしれません。しかし一般的には、通常の追突事故と変わらず、裁判で争っても追突車に100%の過失を多く認めています。

しかし、追突された車にも急停止の理由や急停止の方法によっては、10%から20%程度、最高で30%の過失を認めた例もあります。

追突された方にも過失が認められるのは、ETCを利用するには、「ETCシステムが利用できる状態になったことを確認の上、ETCシステムを利用できる車線を通行すること」と定められているからです。そのため、未装着などで急停止した場合は過失が生じる可能性があります。

意外に多いETCレーンでの急停止件数

高速道路を利用していてゲートが開かずに急停止している車を見かけた人は、それほど多くないかもしれません。しかし、その数は意外に多いことをご存じでしょうか。高速道路全体のデータはありませんが、福岡北九州高速道路公社の発表によると2014年度1年間のETCレーンでの急停止件数は約185,800件でした。(参考・
福岡北九州高速道路公社

この件数はETC利用車数の約300台に1台です。事故に至った件数ではないですが、いつ急停止する車に出合ってもおかしくない確率です。急停止するはずがないという思い込みをしていると追突事故を起こす確率は、その他の接触事故や衝突事故などの交通事故を起こす確率よりもはるかに高いといえるでしょう。


ETCレーンで車が急停止する理由

ETCレーンで車が急停止する主な理由は以下の通りです。

  1. ETCカード未装着のままETCレーンに進入
  2. ETCカードを装着しているが認識されていないままETCレーンに進入
    ETCカードのICチップ部分の汚れや、ETCカードがそのものの変形・破損・有効期限切れなどで、挿入しても認識できていない場合があります。なお、ETCカードを装着したままだと、車内温度などが異常に高温になると、その影響で使用できなくなる場合があります。
  3. ETC設備の故障
    ETCゲートでは、ゲートに設置されているアンテナとETC車載器が無線通信をしています。ETC車載器の故障や取り付けの不良、および電波を通しにくい状況が起きている、ETCゲート設備の故障などの理由で無線通信が正常に行えない場合、ゲートが開きません。
  4. ETCカードを料金所の直前で抜き挿してETCレーンに進入
    ETCカードを抜き差しすると、ETCカードが認識されるまでにわずかの時間ですが必要になり場合によっては、認識されないのでバーが開きません。なお、通過直後はETCカードに通過した情報が書き込まれるために、通過直後にETCカードを抜くと高速道路を出るときにトラブルになります。
  5. ETCカード未装着が間違ってETCレーンに進入
    高速道路の逆走と同じくETCレーンに間違って進入する車がある可能性が考えられます。ETCの未装着や最初からETCカードを認識しない場合は、ETC車載器が警告をしてくれるので、高速道路を走行するときには、きちんと装着されていることを確認すれば回避できます。

ETCレーンが20キロの速度制限されている理由

ETCレーンで速度が時速20キロに制限されているのは、高速ではETCカードが認識できないからではありません。実際は、それ以上の速度でETC[レーンを走行しても問題なくゲートは開閉できます。しかし、急停止する車があることを想定し安全のための速度制限がされています。いつ前方の車が急停止しても良いように速度と十分な車間距離を取るように

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