駐車場での事故は道路上で起きた事故と同じ

公共施設・商業施設などの駐車場へ車を止めることは誰しも多いものです。

役所やスーパーの駐車場は厳密に言えば私有地で「道路」ではありませんが、「道路交通法」が適用されます。

道路とは「道路及び隣接する土地で不特定・多数の人の出入りがある場所」という要件があります。

駐車場での事故は道路上で起きた事故と同じということを覚えておきましょう。

事例

ある日曜日、平藤美子(仮名・68歳)は大型スーパーで買い物を終え、駐車場からダイハツ・タントを発進させた。駐車場は広大で出口までは脇通路からメイン通路へ出る必要があり、しかも多数の歩行者や車が行き交っている。脇通路からメイン通路へ向かったが、メイン通路の境界は当然ながら一旦停止の「とまれ」表示があった。いつもなら平藤は一旦停止して左右確認したのち右左折するのだが、その日は多くの歩行者に気を取られたため減速しながらメイン通路へ出てしまった。

そこへ通りかかったのが買物帰りの早坂茂雄(仮名・60歳)のベンツだった。早坂はまさか脇通路から一旦停止もせず車が出てくるとは思わなかったので通り過ぎようとしたところ、突然左後部に衝撃を受けたのですぐに停止して降車した。見ると左後輪辺りに平藤のタントのバンパーが衝突しており、時速15km位の徐行状態でも早坂のベンツには幅1m位の大きな傷が残ってしまった。

平藤は「すみません、私が悪いので全て私の保険で修理させてもらいます」と言うので早坂は警察届出のために110番したところ、警官が「けが人がいないのなら、二人で警察まで来てください」と言うので、2台連ねて近くの警察署まで行き、物損事故として受理してもらった。

どちらも走行中なら必ず双方に過失割合が発生する出合い頭事故

警察から帰宅したあと平藤は長年付き合っている保険代理店に事故報告したところ、「なぜ自分が100%悪いと言ってしまったのですか、出合い頭の事故で相手が止まっていない限り100:0の過失割合はありませんよ」と叱られてしまったのである。

平藤は「私が一旦停止しなかったし相手の方もいい人だったので」と弁解するが、修理費が双方合わせて60万円を超えたこともあって保険会社は事故原因究明の調査を入れ、最終的に平藤80:早坂20の過失割合となったため円満に話し合っていた当事者二人の関係も気まずいものとなってしまった。

早坂は「平藤が『私が悪いので全て私の保険で修理させてもらう』と約束した」と頑として譲らず、法廷で決着をつけるべく現在も係争中である。

自分が悪いと感じても「事故責任は全て負う」と約束してはいけない

出会い頭事故は双方とも走行中だけに、故意でない限り一方が100%の過失を負うことはありえません。たとえ相手が駐車車両であっても駐車方法によっては過失が発生することもあります。

交通事故のほとんどは「出合い頭」が多く、そのような事故に遭った場合は自分の方が悪いと感じても「責任を全て負う」などと相手に約束してはいけません。

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